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社会保険の定時決定(算定基礎届の提出)の手続き

5月の経理豆知識

社会保険の定時決定(算定基礎届の提出)の手続き
最終更新日:2023年4月27日

(1)「標準報酬月額」とは

毎月の社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)のベースになる報酬を「標準報酬月額」といいます。
社会保険料の計算にあたって、毎月支払われる給与の額を基準にした場合、残業手当等により毎月の給与が変動すると、それに応じて社会保険料の額も変動することになり、事務処理が煩雑になってしまいます。
そこで、健康保険の報酬については5万8,000円(1等級)~139万円(50等級)、厚生年金保険の報酬については8万8,000円(1等級)~65万円(32等級)を標準報酬月額として設定し、この標準報酬月額により保険料を決定することになっています。

(2)「定時決定」とは

被保険者に実際に支払われている報酬と標準報酬月額に大きな差が生じないようにするため、標準報酬月額は1年に1回、見直しが行なわれます。
これを「定時決定」といい、「被保険者報酬月額算定基礎届」(以下、「算定基礎届」といいます)により手続きを行ないます。
「算定基礎届」により決定された標準報酬月額は、原則として1年間(9月から翌年8月まで)適用され、納付する社会保険料や将来受け取る年金額等の計算の基礎となります。
「算定基礎届」の様式(日本年金機構)
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/hoshu/20141225.files/225.pdf
なお、定時決定による新しい標準報酬月額は翌年8月まで有効ですが、昇給など固定給の大幅な変動があった場合には、次の定時決定を待たずに標準報酬月額が改定されます。これを「随時改定」といいます。

(3)算定の基準となる報酬

定時決定の対象となるのは、4月、5月、6月に実際に支払われた報酬(給与)です。この3か月間の平均額を計算して(3か月間の報酬総額を「3」で割って)、新しい標準報酬月額が決定されます。
なお、原則として、報酬の支払いの基礎となった日(いわゆる「出勤日数」)が17日以上ある月を基準に計算します。17日未満の月は、報酬が通常の月とかけはなれる場合があるため、算定の対象外とされています(短時間労働者については、別途、基準が設けられています)。

(4)定時決定の対象者

定時決定の対象となるのは、7月1日現在で在職している全被保険者ですが、次に挙げる人は定時決定の対象から除かれます。
  1. 6月1日以降に被保険者資格を取得した人
  2. 6月30日以前に退職した人
  3. 7月に随時改定をする人
  4. 8月または9月に随時改定が予定されている旨の申出をした人
6月1日以降に被保険者資格を取得した人については、資格取得時に「被保険者資格取得届」により標準報酬月額が決定されているため、定時決定の対象外となります。
また、4~6月に固定給(基本給や役職手当など)が変動し、7月に随時改定をする人、8月または9月に随時改定が予定されている人も対象外となります。

(5)算定基礎届の提出先等

算定基礎届の提出先は、健康保険組合に加入しているか否かにより異なります。
健康保険組合に加入していない場合は、管轄の年金事務所(事務センター)に提出します。健康保険組合に加入している場合は、管轄の年金事務所(事務センター)に加えて、健康保険組合にも提出する必要があります。
提出期間は、原則として、7月1日~7月10日となっています。
提出先

●健康保険組合に加入していない場合
管轄の年金事務所(事務センター)

●健康保険組合に加入している場合
①管轄の年金事務所(事務センター)
②健康保険組合

提出期間(原則) 7月1日~7月10日
提出方法 ①郵送
②窓口持参
③電子申請
④電子媒体(CDまたはDVD)
なお、定時決定の事務にあたっては、厚生労働省が示している「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」も適宜、参照してください。
「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20121017.files/jireisyu.pdf

2023年05月の「経理豆知識」トピックス