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定時株主総会開催までの流れと簡略化のポイント

5月の総務豆知識

定時株主総会開催までの流れと簡略化のポイント
最終更新日:2023年4月27日
株式会社は、毎事業年度の終了後一定の時期に、定時株主総会を開催しなければなりません(会社法296条1項)。
定時株主総会は、通常、事業年度の末日を基準日とし、その日から2か月もしくは3か月以内に開催されます。そのため、3月決算の株式会社では、通常、5月もしくは6月に定時株主総会を開催します。

(1)定時株主総会当日までの流れ

事業年度の末日から、定時株主総会当日までのおおまかな流れは次のとおりです。
事業年度の末日(基準日)

計算書類の作成

監査役に対する計算書類の提出

監査役による監査報告書の提出

決算取締役会
(①計算書類の承認)
(②株主総会招集の決定)

株主総会招集通知の発送

定時株主総会の開催(当日)

(2)定時株主総会の簡略化・効率化

定時株主総会は、株式会社であれば毎年必ず開催しなければならず、例年同じやり方をしている会社が多いと思われますが、まだまだ改善の余地はあるはずです。
以下、定時株主総会に関連する手続き等の簡略化・効率化という観点から、ポイントをみていきましょう。


①口頭・電話、電磁的方法による招集通知

株主総会の招集にあたっては、取締役会設置会社(取締役会を置く株式会社)は、原則として、書面により招集通知を行なう必要があります。ただし、事前に株主の承諾があれば、書面に代えて電磁的方法により行なうことも可能です。具体的には、電子メールやWebサイトからダウンロードする方法により、招集通知を発することができます。
これに対して、非公開会社(株式の譲渡制限がある会社)で、かつ、取締役会非設置会社(取締役会を置かない会社)では、書面によらず、口頭や電話での招集通知も可能です。口頭や電話で行なう場合であっても、後々のトラブルを防止するため、同じ内容を電子メール等で送っておくとよいでしょう。
なお、株主全員の同意がある場合には、招集の手続きを経ることなく、株主総会を開催することができます。つまり、招集手続き自体の省略が可能になります。
以上、株主総会の招集通知の効率化・省力化には、いろいろな方法があります。自社の状況をふまえて、適した方策を検討するとよいでしょう。


②議事進行に関するシナリオの作成

定時株主総会の当日、株主総会を円滑に、かつ、法的な要件を満たして進行させるためには、事前に議事進行に関する「シナリオ」を作成しておくことが大切です。
場合によっては、あらかじめ関係株主から意見や要望、質問内容等を聴取し、シナリオに反映させることも考えられます。
あらゆる事態を想定して、事前にシナリオをきちんと作成しておけば、不測の事態が生じるリスクが減り、株主との質疑応答に集中することが可能になります。


③株主との想定問答の作成

取締役、会計参与、監査役、執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければなりません(会社法314条)。
この説明義務に違反して十分な説明をしなかったと判断されると、最悪の場合、株主総会の決議自体が取り消される可能性があります。
一定の場合には、説明を拒否することも可能ですが、その場面は非常に限られています。基本的には、誠実に対応するスタンスが不可欠です。
説明義務違反に問われないため、また質疑応答をスムーズにこなすためにも、株主から質問が想定される事項については、事前に想定問答を作成しておきましょう。


④株主総会資料の電子提供制度の利用

株主総会資料の電子提供制度は、株主総会資料を自社のホームページ等に掲載し、株主に対しては、そのアドレス等を書面により通知することによって、株主総会資料を提供することができる制度です。
上場会社は、電子提供制度の利用が義務となっていますが、中小企業(非上場会社)においては、定款に定めることで、株主総会資料の電子提供制度を利用することができます。
なお、書面での資料提供を希望する株主は、「書面交付請求」をすることにより、書面で受け取ることができます。

2023年05月の「総務豆知識」トピックス