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雇用保険の加入漏れがあった場合にいつまで遡及(そきゅう)適用できるのか?

5月の総務豆知識

雇用保険の加入漏れがあった場合にいつまで遡及(そきゅう)適用できるのか?
最終更新日:2023年4月27日
新たに従業員を雇用した場合、事業主は雇用保険の被保険者資格の取得手続きを行なう必要があります。
具体的には、被保険者となった日の属する月の翌月10日までに、所轄のハローワークに対して「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。
しかしながら、何らかの事情により資格取得の手続きが漏れてしまうことがあり得ます。以下では、こうした場合の手続きについて解説します。

(1)被保険者資格取得の遡及手続き

何らかの事情により資格取得の手続きに漏れがあり、届出が済んでいない場合には、遡及して(過去にさかのぼって)被保険者資格を取得する手続きを行ないます。
この場合、どのくらいまで遡及するのかが問題となります。この点、被保険者となった日が、被保険者であったことが確認された日から2年より前の場合には、原則として、資格取得日はその確認された日の2年前の日とみなされます。
たとえば、2020年4月1日に雇い入れた従業員について、資格取得の手続きが漏れていたことがわかり、被保険者であったことの確認が2023年4月1日に行なわれた場合は、その2年前の日、すなわち2021年4月1日が資格取得日とみなされます。
 
雇入れの日2020年4月1日
資格取得日2021年4月1日
被保険者であった
ことが確認された日2023年4月1日
対象となる従業員がいる場合には、実際の手続きや必要書類等を含めて、所轄のハローワークに確認してください。

(2)2年を超えて遡及適用される場合

資格取得の手続きをしていなかったために、雇用保険に未加入となっていた従業員は、上記のとおり、被保険者であったことが確認された日の2年前の日まで遡及適用が可能です。
しかしながら、2年前までしか遡及できないとすると、雇用保険料を控除されていた全期間を被保険者期間として算定した場合よりも、失業手当の所定給付日数が短くなるケースが発生します。
そのため、事業主から雇用保険料を天引きされていたことが賃金台帳や給与明細書等により確認できる場合には、2年を超えて遡及適用することができます。つまり、雇用保険料の天引きが確認された時点までの遡及が可能です。

(3)労働保険料の修正

労働保険の年度更新は、前年度(4月~翌年3月)の労働保険料を確定させる手続きです。
もし、当該年度の年度更新が終わった後で、労働保険の年度を超えて雇用保険の遡及適用があり、保険料の金額が変わる場合には、変更後の保険料を申告(納付)する必要があります。

(4)事業全体が雇用保険に未加入だった場合

遡及適用の対象となった従業員を雇用しているにもかかわらず、事業所全体として雇用保険の保険関係成立届を提出せず、保険料を納付していないというケースもあります。
こうした場合については、保険料の徴収時効である2年を経過した後でも保険料の納付を可能とし、その納付を勧奨しています。

2023年05月の「総務豆知識」トピックス