• ヘルプ
  • MYページ
  • カート

役員の変更があった場合に必要となる登記手続き

5月の総務豆知識

役員の変更があった場合に必要となる登記手続き
最終更新日:2023年4月27日
商業・法人登記の制度は、取引上重要な会社等に関する一定の事項(商号・名称、所在地、代表者の氏名等)を法務局の商業登記簿に記録し、その記録を一般に公開することによって、会社等の信用の維持を図り、安心して取引ができるようにすることを目的としています。
株主総会等において、以下のような事項について決議が行なわれた場合には、管轄の法務局へ登記をしなければなりません。
  1. 役員(取締役、監査役等)に変更が生じたとき
  2. 社名(商号)を変更したとき
  3. 本店を移転したとき
  4. 事業内容を変更したとき
参考までに、2022年9月1日施行の改正会社法により、会社の支店所在地における登記に関する規定が削除されました。
したがって、2022年9月1日以後は、会社の支店所在地において登記を行なう必要はなく、支店を設置、移転、廃止した場合は、本店所在地で「支店の所在場所」を登記すれば足ります。

3月決算の会社では、5月から6月にかけて定時株主総会が開催され、役員に異動(就任・退任等)が生じることも多いと思われます。
そこで、以下では、役員の変更にともなう登記手続きについて解説します。

(1)役員の変更登記が必要となるケース

役員が就任する場合は、法務局で変更登記を行ないます。任期満了後、同じ役員が続けて就任する場合にも、重任の登記が必要となります。代表取締役の住所も登記事項ですから、住所が変わった場合には変更登記が必要です。
また、役員が以下のような事由で退任した場合も変更登記が必要です。
退任事由 留意点
1.任期の満了 株式会社の取締役の任期は、原則として選任後2年以内(監査役は4年以内)に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時まで。非公開会社(株式の譲渡制限がある会社。一般的な中小企業が該当)については、定款によって、取締役(監査役)の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時まで延長できる。
2.辞任 役員が自発的な意思によって辞めること(任務・職務から退くこと)。役員は、原則としていつでも辞任することができる。
3.解任 原則として、株主総会の決議により、本人の意思とは関係なく(選任者の一方的な意思表示によって)、役員を辞めさせることができる。株主総会による解任はいつでも行なうことができ、解任のための特別な理由も必要とされない。
4.死亡 役員がその任期中に死亡した場合は、当然に退任となる。

(2)登記申請に必要な書類

役員に異動があった場合は、登記申請書類を作成のうえ、管轄の法務局に登記申請を行ないます。
登記申請の際に必要な書類は、株主総会議事録、取締役会議事録、定款、印鑑証明書など、登記事項や会社の状況等によってさまざまです。
詳細は、管轄の法務局等で確認するようにしてください。
役員変更登記の申請書様式の一例(法務局)
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001249325.pdf

(3)登記申請の方法等

登記の申請方法としては、次の3つのものがあります。
  1. 管轄の法務局に提出する方法
  2. 郵送で送付する方法
  3. オンライン申請
変更登記の申請は、変更の事由が生じた日から2週間以内に行なわなければなりません(会社法915条1項)。
役員変更登記に必要な登録免許税は、申請1件につき3万円(資本金の額が1億円以下の会社は1万円)です。収入印紙または領収証書により納付します。
なお、登記を怠ったり、登記すべき期間を過ぎてしまったりした場合には、100万円以下の過料に処せられることがあります(会社法976条)。

2023年05月の「総務豆知識」トピックス