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定時株主総会を開催した後の事務・手続き

6月の総務豆知識

定時株主総会を開催した後の事務・手続き
最終更新日:2023年5月26日
ここでは、株式非公開の中小企業(株式譲渡制限会社)の一般的なケースを前提として、定時株主総会後の各種事務や手続きについて解説します。
迅速かつ確実に、総会後の処理を行ないましょう。

(1)株主総会議事録の作成・備え置き

株主総会で決議された事項は、記録として残すために議事録(書面または電磁的記録)を作成しなければなりません。
会社法施行規則72条3項により、株主総会議事録に記載すべき基本的な事項は次のとおりです。
  1. 株主総会が開催された日時・場所
  2. 当該場所にいない取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人または株主が株主総会に出席をした場合における当該出席の方法
  3. 議案ごとの議事の経過の要領とその結果
  4. 会社法の規定により株主総会において述べられた意見または発言があるときは、その意見または発言の内容の概要
  5. 株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役または会計監査人の氏名または名称
  6. 株主総会の議長がいるときは、議長の氏名
  7. 議事録の作成に係る職務を行なった取締役の氏名
上に挙げたとおり、議事録には「議事の経過の要領とその結果」を記載しますが、議事の経過の要領とは審議・議決の経過等を要約したものです。
議事録作成の時期について法律上の定めはありませんが、総会終了後、速やかに作成する必要があります。
株主総会の決議事項は、登記事項であることが多く、登記を申請する際には添付書類として議事録が要求されます。議事録の作成を怠ると、必要な登記ができないということになりかねません。
また、作成した議事録は、株主総会の日から会社の本店に10年間、同じく会社の支店にその写しを5年間、備え置かなければなりません。
なお、この10年、5年という期間は、あくまでも議事録を株主や債権者の閲覧・謄写に供するための期間であり、議事録そのものの保存期間ではありません。
株主総会議事録の保存期間について法律上の定めはありませんが、会社の記録として非常に重要なものですから、基本的に永久保存とすべきでしょう。

(2)変更登記

会社法では、会社の登記事項に変更が生じた場合には、変更の登記をしなければならないとしています。
そのため、株主総会の決議により、会社定款の変更、役員の就任、退任、再任などがあった場合には、株主総会の日(変更が生じた日)から2週間以内に、本店所在地において変更登記をしなければなりません。変更登記の申請の際には、株主総会議事録を添付します。
なお、定時株主総会において役員の改選が行なわれた場合には、通常、総会終了後に取締役会が開催されます。
この取締役会での決議事項は代表取締役の選定などですが、代表取締役の変更も登記事項となっています。

(3)剰余金の配当

剰余金の配当を行なう場合には、権利確定日現在の株主に対して配当通知を送付し、遅滞なく支払いの手続きをします。
通常、配当通知には、株主総会における決議事項等の通知、事業報告書の要旨なども同封します。
これらの書類を株主総会終了後ただちに発送するためには、事前に原稿作成や印刷を済ませておく必要があります。

(4)決算公告

株式会社は、定時株主総会の終了後、貸借対照表(大会社は貸借対照表と損益計算書)を公告しなければなりません。
決算公告は、次のいずれかの方法によります。
  1. 官報に掲載する方法
  2. 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
  3. 電子公告
いずれの方法によるかは会社の定款で定めますが、特に定めない場合には「官報に掲載する方法」により行なうとされています。
公告の時期については、定時株主総会の終結後、遅滞なく行なわなければならないとされています。
なお、株式会社には公告を行なう義務が課されており、公告を怠った場合は100万円以下の過料に処せられます。

2023年06月の「総務豆知識」トピックス