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個人住民税の特別徴収事務と納期の特例制度

12月の経理豆知識

個人住民税の特別徴収事務と納期の特例制度
最終更新日:2023年11月27日
地方税法の規定により、所得税を源泉徴収している事業主は、従業員の個人住民税(以下、単に「住民税」といいます)を控除(特別徴収)しなければなりません。
したがって、原則として、従業員の住民税は、事業主が毎月の給与から控除(特別徴収)して納付します。
たとえば、現在、特別徴収している住民税は、従業員の2022年の所得に基づいて決定された税額を、2023年6月から2024年5月までの毎月の給与から控除して、各月の翌月10日までに市区町村に納付しています。
住民税を直接に納付する義務を負うのは、従業員本人(納税義務者)ですが、事業主(給与支払者)が給与から控除して納税するのが「特別徴収」です。所得税の源泉徴収に相当するのが、住民税の特別徴収といえます。
従業員の住民税額の決定から徴収までのおおよその流れは、次のようになります。


●ステップ1――1月31日まで
事業主(給与支払者)は、従業員(納税義務者)がその年1月1日時点で居住する市区町村(住民税担当課)に次の書類を提出する。

・給与支払報告書(総括表・個人別明細書)

●ステップ2――5月31日まで
従業員が居住する市区町村から、事業主宛てに住民税(特別徴収税額)決定通知書と納付書が送付される。

各従業員に特別徴収税額を通知する。

●ステップ3――7月以降の毎月10日まで
6月以降の毎月の給与から当該年度の住民税を特別徴収し、翌月10日までに各市区町村に納付する。
住民税の特別徴収では、従業員の給与から住民税を控除し、毎月、金融機関で納付する必要があります。しかしながら、特に小規模な事業所では、この毎月の納付事務が負担になります。
そこで、常時使用する従業員が10人未満である事業所については、特別徴収税額を年2回に分けて(6か月分をまとめて)納付することができる制度があります。これを「納期の特例」といいます。
納期の特例の適用を受けるには、事前に市区町村長に申請し、その承認を受ける必要があります。滞納がある場合などは、承認されないことがあります。
この特例の適用を受けた場合の納期限は、次のとおりです。
6月~11月分の給与から控除した税額 12月10日
12月~翌年5月分の給与から控除した税額 翌年6月10日
12月10日もしくは6月10日が土曜日・日曜日・祝日に当たる場合には、金融機関の翌営業日が納期限となります。

納期の特例の適用を受けたことによる事務負担の軽減は、小規模な事業所にとって大きなメリットです。
ただ、毎月徴収した税額をきちんと管理しておくことは必要です。6か月分となるとかなりの金額になりますから、納期限の間際になって慌てることがないようにしましょう。