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新型コロナウイルスに関する新たな助成金と助成金特例の創設~母性健康管理有給休暇・介護有給休暇の取得支援~

2020年7月31日更新

人事労務News&Topics

新型コロナウイルスに関する新たな助成金と助成金特例の創設~母性健康管理有給休暇・介護有給休暇の取得支援~

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
2020年6月、新型コロナウイルス感染症への対策として、母性健康管理措置による有給休暇取得を支援する助成金の創設及び、介護有給休暇制度を整備する事業主を支援する両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)の「新型コロナウイルス感染症対応特例」の制度が新たに創設されました。今回はその詳細について解説していきます。

新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援助成金

(1)支給要件

下記の①~③をすべて満たす事業主が対象となります。
2020年5月7日から2020年9月30日までの間に

①新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として、医師または助産師の指導により、休業が必要とされた妊娠中の女性労働者が取得できる有給の休暇制度(年次有給休暇を除き、年次有給休暇の賃金相当額の6割以上が支払われるものに限る)を整備する

②当該有給休暇制度の内容を、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の内容とあわせて労働者に周知する

2020年5月7日から2021年1月31日までの間に

③当該休暇を合計して5日以上取得する

(2)助成内容

対象労働者1人あたり有給休暇合計5日以上20日未満で25万円、以降20日ごとに15万円が加算されます。(対象労働者1人につき、上限額100万円)
なお、1事業所あたり20人まで申請可能です。

(3)対象労働者

医師又は助産師(以下「医師等」)の指導により休業が必要とされた妊娠中の女性労働者となります。ここでポイントとなるのは、医師等の指示を受けたことを証明するために、『母性健康管理指導事項連絡カード』等の添付が助成金申請時に必要になる点です。
なお、女性労働者の雇用保険の加入、未加入者は関係ありません。

(4)労働者への制度の周知

「新たに整備した有給休暇制度」と「新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置」の内容について、女性労働者のみならず、全ての労働者へ周知することが必要です。
周知方法例としては、“事業所の見やすいところにリーフレットやポスター等を掲示する”、“電子メールを利用して全ての労働者へ制度内容を送信する”などが挙げられます。
申請時に、周知したことの証明(掲示したことがわかる写真、送信した電子メール資料等)を添付することになります。

(5)助成金申請

申請期間:2020年6月15日~2021年2月28日まで
申請単位:雇用保険の適用事業所ごと

なお、申請回数に制限はありませんので、対象労働者ごとの申請、同一の労働者について有給休暇の取得日数に応じてその都度申請など、申請しやすいタイミングで進めましょう。

(6)支給申請の流れ

支給申請のスケジュールを整理すると、下記の通りとなります。
なお、「制度整備」と「社内周知」は、2020年9月30日までに行えば、労働者の休暇取得後であっても支給対象となります。

両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)の「新型コロナウイルス感染症対応特例」

(1)支給要件

下記の①~⑤をすべて満たす事業主が対象となります。

①新型コロナウイルス感染症への対応として利用できる介護のための有給休暇制度(所定労働日において20日以上取得できる制度)を整備する

②当該有給休暇制度の内容を、仕事と介護の両立支援制度の内容と合わせて労働者に周知する

③新型コロナウイルス感染症の影響により対象家族の介護のために仕事を休まざるを得ない労働者が、2020年4月1日から2021年3月31日までの間に、①の有給休暇を合計5日以上取得する

④対象労働者について、休暇取得日から申請日までの間、雇用保険被保険者として継続して雇用している

⑤中小事業主である

(2)助成内容

対象労働者1人あたり、有給休暇合計5日以上10日未満は20万円、合計10日以上は35万円となります。
なお、1事業主あたり5人まで申請可能です。

(3)対象労働者

新型コロナウイルス感染症の影響で介護休暇が必要な労働者のうち、下記①~③のいずれかに該当する方が対象となります。

①介護が必要な家族が通常利用している又は利用しようとしている介護サービスが新型コロナウイルス感染症による休業等により利用できない場合

②家族が通常利用している又は利用しようとしている介護サービスについて、新型コロナウイルス感染症への対応のため利用を控える場合

③家族を通常介護している者が、新型コロナウイルス感染症の影響により家族を介護することができなくなった場合

(4)申請期限

支給要件を満たした翌日から2か月以内

2020年6月15日より受付が開始されています。なお、6月15日より前に支給要件を満たしていた場合、2020年8月15日が申請期限となります。

最後に

これら2つの助成金の概要をまとめてみます。
対象労働者がいるようならば、細かな要件や申請方法を確認したうえで、上手に助成金制度を活用していきましょう。
  母性健康管理措置による休暇取得支援助成金 介護離職防止支援コース「新型コロナウイルス感染症対応特例」
対象企業規模 大企業、中小企業 中小企業
申請単位 雇用保険の適用事業所ごと 事業主単位(法人又は個人事業主を1事業主とする)
対象労働者の
雇用保険加入要件
無し
(雇用保険未加入者でも申請可能)
有り
対象労働者 医師等の指導により休業が必要とされた妊娠中の女性労働者 新型コロナウイルス感染症の影響で介護休暇が必要な労働者
申請期限 2020年6月15日~2021年2月28日まで 支給要件を満たした翌日から2か月以内
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連載「人事労務News&Topics」

執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て独立。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。また現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
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