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「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改定されました!

2022年8月10日更新

人事労務News&Topics

「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改定されました!

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
2022年7月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改定されました。
本コラムでは、改定内容等について解説します。

(1)改正の内容

今回の改正は、副業・兼業を希望する労働者が、適切な職業選択を通じ、多様なキャリア形成を促進することを目的としています。
具体的には、企業は副業・兼業への対応状況についての情報を公表することが望ましい、とされました。

公表する情報は、①副業・兼業を許容しているか否か、②条件付きで許容している場合は、その条件、とされています。

<情報の公表事項>
①副業・兼業を許容しているか否か
②条件付きで許容している場合は、その条件
公表の対象となる副業・兼業は、他社に雇用される形での副業・兼業のみならず、フリーランス、独立、起業等の請負・委託・準委任契約により行うものも対象と考えられています。

(2)情報の公表方法について

情報の公表方法は、自社ホームページのほか、会社案内や採用パンフレット等となり、掲載された情報内容に変更がある場合は、速やかに更新することが望まれます。

たとえば、自社のホームページで公表する場合は、次のようになります。
<条件を設けず、副業・兼業を許容している場合>

○我が社では、従業員が副業・兼業を行うことについて、条件を設けることなく、認めています。

<条件を設け、副業・兼業を許容している場合>

○我が社では、従業員が副業・兼業を行うことを原則として認めています。ただし、長時間労働の回避をはじめ、安全配慮義務、秘密保持義務、競業避止義務、誠実義務の履行が困難となる恐れがある場合には、認めていません。

*「副業・兼業の促進に関するガイドライン」Q&A(厚生労働省)をもとに作成

(3)副業・兼業を認めていますか?

パーソル総合研究所の調査によると、正社員の副業・兼業について、「全面的に禁止」している企業が45.1%、「全面的に容認・条件付きで容認」している企業が55%となっています(「第二回 副業の実態・意識に関する定量調査」2021年)。
依然として、全面的に禁止している企業も多く存在していますが、副業・兼業に関する裁判例を踏まえると、原則として「副業・兼業を認める方向で検討すること」が適当です。
「労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由」であり、各企業がそれを制限することが許されているのは、たとえば次に該当する場合と解されています。
①労務提供上の支障がある場合
②企業秘密が漏えいする場合
③競業により、企業の利益が害される場合
④会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
副業・兼業を禁止している企業や一律許可制にしている企業は、これを機会に、副業・兼業を認める方向で見直しを検討し、自社のホームページ等で公表することにより労働者の多様なキャリア形成を促進し、採用アピール等につなげてみてはいかがでしょうか。
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連載「人事労務News&Topics」

執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て独立。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。また現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
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