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2024年10月から51人以上の企業で社会保険の適用拡大が始まります

2023年8月10日更新

人事労務News&Topics

2024年10月から51人以上の企業で社会保険の適用拡大が始まります

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
2020年5月、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立しました。段階的な施行により、短時間労働者への社会保険の適用要件は、2022年10月に被保険者数101人以上の企業に拡大され、2024年10月からは被保険者数51人以上の企業が対象となります。
本コラムでは、適用拡大の内容について具体的に解説していきます。

2024年10月より対象となる企業

現在、パート・アルバイトなど短時間労働者の社会保険加入が義務づけられているのは、従業員数が101人以上の企業です。
この人数規模要件が、2024年10月より「51人以上」に引き下げられ、社会保険の適用範囲が拡大されます。

ここで、従業員数とは、厚生年金被保険者数の人数のことを指します。具体的には、①フルタイム労働者と、②1週の所定労働時間と1か月の所定労働日数がフルタイム労働者の4分の3以上の労働者を合わせた人数です(以下、「厚生年金被保険者の加入要件」といいます)。
したがって、全従業員数のことを指しているわけではなく、厚生年金被保険者の加入要件に当てはまる労働者数が51人以上100人以下の企業は、2024年10月より新たに社会保険の適用拡大の対象となり、この企業を「特定適用事業所」といいます。

2024年10月より社会保険加入が求められる労働者

特定適用事業所で働くパート・アルバイト等の労働者は、一定の要件を満たすと、社会保険への加入が求められます。
この一定の要件とは、以下の4つをいいます。

①1週の所定労働時間が20時間以上であること

②賃金の月額が88,000円以上であること

③雇用期間が2か月超見込まれること

④学生でないこと

これら4つの要件のすべてに該当した場合、「短時間労働者」となり、社会保険の適用が必要になります。

準備を進めるポイント

本改正まで、あと約1年となり、パート・アルバイト等の短時間労働者の社会保険適用拡大について、徐々に準備を進めていく時がやってきました。
進めていく流れ、ポイント等を確認していきます。
ステップ1

「特定適用事業所」の要件に該当するか否かを確認しましょう!

厚生年金の被保険者数が、51人以上100人以下に該当するか否かについて、現在の厚生年金の加入人数を確認します。あわせて、厚生年金被保険者の加入要件対象者に相違がないかもみていきましょう。そして、今後の人員計画も踏まえて、人数を把握することが大切です。
ステップ2

特定適用事業所に該当することが予想される場合、「短時間労働者」の適用者を把握しましょう!

短時間労働者の4要件に該当し、新たに社会保険の加入対象となる人を把握しましょう。
また、副業・兼業している人について、2か所以上の会社で社会保険の被保険者の要件を満たす場合、2か所で社会保険の加入が必要です。
この2か所で社会保険の加入が必要な人(二以上勤務の対象者)については、以下のケースが考えられます。
新たな社会保険の加入対象者を把握する際には、短時間労働者に加えて、二以上勤務の対象者も把握していきましょう。
ステップ3

社会保険料のシミュレーションをしましょう!

会社が負担する社会保険料を簡単に試算ができるサイトがありますので、ぜひ確認を行なって、経営へのインパクトを把握しましょう。
ステップ4

短時間労働者の対象者へ制度説明等をしましょう!

新たに社会保険の加入対象となるパート・アルバイト等の方に、法改正の内容や制度の説明を行ないましょう。
たとえば、配偶者の扶養の範囲内で働いている場合、配偶者の扶養を抜けて、短時間労働者として、自社で社会保険に加入することが求められます。
本人の働き方、今後の労働時間等についても影響があると思いますので、個人面談等でしっかり話し合うことが大切です。


本コラムでは、2024年10月から始まる社会保険の適用拡大に向けて、企業内での準備の進め方をまとめてみました。
企業によっては、社会保険料の経営へのインパクトが大きいかもしれません。労働者の働き方の見直しが必要となる企業もあるでしょう。
施行まであと約1年となりますので、早めに準備を進めていかれてはいかがでしょうか。

厚生労働省からも、お知らせが配布されていますので確認しておきましょう。
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2024年5月8日(水)~5/10(金) 東京ビッグサイト

連載「人事労務News&Topics」

執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て独立。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。また現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
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