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得意先に配付するカレンダーなどの費用は交際費? 広告宣伝費?

11月の経理豆知識

得意先に配付するカレンダーなどの費用は交際費? 広告宣伝費?
最終更新日:2023年10月26日
例年、年末になると、カレンダーや手帳などを持参して得意先回りをしている会社も少なくないでしょう。
経費削減の観点から、あるいはコロナ禍を受けて、作成や配付をやめたという会社もあるかもしれませんが、カレンダーや手帳などが重要な営業ツールであることに変わりはありません。
こうした営業ツールの費用は、税務上、交際費になるか、広告宣伝費になるかをめぐって問題が生じがちです。そこで、あらためて経理処理を確認してみましょう。

(1)広告宣伝費と交際費の区分

広告宣伝費は、製商品等の販売促進や会社のイメージアップを目的として、不特定多数の者に対して支出する費用をいいます。不特定多数とは、言い換えれば「一般消費者」ということです。
一方、交際費とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。不特定多数ではなく、特定の相手が対象となります。

(2)カレンダーなどは基本的に広告宣伝費

カレンダー、手帳、手ぬぐいなどを不特定多数に対して贈ることが慣習として行なわれ、その金額が小額で、通常要する費用である場合には、交際費には含まれないものとされ、広告宣伝費となります。
また、次のような不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用も、広告宣伝費となります。
  1. 製造業者や卸売業者が、抽選により、一般消費者に金品を交付するための費用または一般消費者を旅行、観劇などに招待するための費用
  2. 製造業者や卸売業者が、金品引換券付販売に伴って一般消費者に金品を交付するための費用
  3. 製造業者や販売業者が、一定の商品などを購入する一般消費者を旅行、観劇などに招待することをあらかじめ広告宣伝し、その商品などを購入した一般消費者を招待するための費用
  4. 小売業者が、商品を購入した一般消費者に景品を交付するための費用
  5. 一般の工場見学者などに製品の試飲、試食をさせるための費用
  6. 得意先などに対して見本品や試用品を提供するために通常要する費用
  7. 製造業者や卸売業者が、一般消費者に自社製品や取扱商品に関してのモニターやアンケートを依頼した場合に、その謝礼として金品を交付するための費用
以上のように、広告宣伝費は、特定の相手ではなく、あくまでも「一般消費者」を対象としていることがポイントになります。
したがって、たとえば「化粧品の製造業者や販売業者が、美容業者や理容業者を対象とする場合」「建築材料の製造業者や販売業者が、大工、左官などの建築業者を対象とする場合」などは、一般消費者を対象にしていませんので、交際費となります。

(3)無条件に広告宣伝費になるわけではない

一般消費者向けのカレンダー、手帳などで小額のものは、広告宣伝費として処理することができますが、広告宣伝効果がないもの(会社名が入っていないカレンダー、手帳など)については、交際費となる可能性もありますので、注意する必要があります。
また、広告宣伝費となるのは「通常要する費用」ですから、一般消費者向けであっても高額な贈答品については交際費になります。
経理処理について少しでも疑問点がある場合には、事前に税務署や専門家などに相談するようにしましょう。

2023年11月の「経理豆知識」トピックス