最終更新日:2023年10月26日
厚生労働省では 、2021年度まで、支払額が1企業当たり100万円以上の割増賃金不払事案を集計してきましたが、今回(2022年分)から集計内容を変更し、割増賃金だけでなく賃金不払事案全体の結果をとりまとめました。
(1)2022年の監督指導結果
2022年に全国の労働基準監督署で取り扱った賃金不払事案の件数等の状況は次のとおりです。
(1)件数 |
20,531件 |
(2)対象労働者数 |
179,643人 |
(3)金額 |
121億2,316万円 |
この賃金不払事案のうち、2022年中に労働基準監督署の指導により使用者が賃金を支払い、解決した件数等の状況は次のとおりです。
(1)件数 |
19,708件 |
(2)対象労働者数 |
175,893人 |
(3)金額 |
79億4,597万円 |
(2)不払賃金の請求期間は「3年」
不払賃金をさかのぼって請求できる期間については、「消滅時効」が定められています。
2020年4月1日施行の改正労働基準法により、賃金債権の時効期間が、2年から5年に延長されました。これは、改正民法の消滅時効期間である原則5年に合わせたものです。
ただし、いきなり2年から5年に延長するのは影響が大きいことから、経過措置として「当分の間は3年」とされました。改正法の施行日(2021年4月1日)以後に支払期日が到来する賃金から、3年の消滅時効期間が適用されています。
なお、将来的には、民法に合わせて5年になることが予想されます。
消滅時効期間の延長により、不払賃金については、最大で3年間さかのぼって支払いが求められることになり、金銭的な経営リスクが増したわけです。
企業としては、法律に則った適切な賃金の支払いを心掛けましょう。