公開日:2025年10月28日
手形・小切手は、長期にわたって企業間取引の決済手段として広く利用されてきましたが、2027年3月末までに利用が廃止されることになっています。
以下では、手形・小切手の利用廃止にまつわる企業の対応などを確認します。
(1)手形・小切手と交換
手形・小切手は、券面に記載された金額を相手に支払うことを約する証書です。
金融機関には、企業などから手形・小切手が持ち込まれます。これらの手形・小切手を相互に交換し、受取額と支払額の差額を一括して決済するのが「手形交換制度」です。
従来、金融機関は、手形・小切手を全国各地の手形交換所に持ち寄って交換していましたが、2022年11月4日から、手形・小切手のイメージデータを金融機関の間で送受信して交換・決済する「電子交換所」に移行しました。
電子交換所への移行に伴い、各地の手形交換所は廃止されています。
今回の手形・小切手の利用廃止とは、電子交換所を介した紙の手形・小切手の交換・決済が利用できなくなるということを意味します。
(2)電子的決済手段への移行
多くの金融機関が、すでに手形帳・小切手帳の発行を終了するなど、2027年3月末を待たずに手形・小切手の取扱いを縮小する動きをみせています。
そのため、現在、紙の手形・小切手を利用している企業は、電子的決済手段への移行を検討する必要があります。電子的決済手段への切替えには時間がかかる場合もあることから、早急な対応が望まれます。
電子的決済手段には、でんさい等の電子記録債権やインターネットバンキングによる振込み等があります。
電子化のメリットとしては、コスト削減(郵送料、印紙代など)、事務負担の軽減(現物管理、押印・発送など)、リスク低減(紛失・盗難の防止)などが挙げられます。
(3)2027年4月以降の手形・小切手の扱い
2027年3月末までに手形・小切手の利用が廃止されるといっても、2027年4月以降、全面的に手形・小切手が利用できなくなるということではありません。
2027年4月以降は、電子交換所を介した交換・決済は利用できなくなりますが、各金融機関が郵送等により個別に手形・小切手の交換・決済を行なうことは可能です。
詳細については、各取引金融機関にお問い合わせください。