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派遣先として対応すべき派遣労働者の同一労働同一賃金(1)

2019年11月15日更新

人事労務News&Topics

派遣先として対応すべき派遣労働者の同一労働同一賃金(1)

[小宮弘子氏(特定社会保険労務士)]
2020年4月から、派遣労働者についても同一労働同一賃金が適用されます。
多くの企業が派遣労働者を受け入れていると思われます。そこで今回は、派遣先として2020年4月からどのような対応が求められるのか確認します。
なお、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(いわゆる「パートタイム労働法」)は、法律の名称が「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(以下、「パートタイム・有期雇用労働法)に変わり、パートタイム労働者だけでなく、有期雇用労働者も法の対象に含まれることになります。

派遣労働者と同一労働同一賃金

派遣労働者については、次のとおり取り扱うものとされています。

●派遣労働者は、パートタイム・有期雇用労働法と派遣法の“両方”が適用される

●パートタイム・有期雇用労働法では、派遣元の通常の労働者との待遇差が対象
(施行日:大企業2020年4月1日、中小企業2021年4月1日)

●派遣法では、派遣先の通常の労働者との待遇差が対象
(施行日:2020年4月1日)

派遣会社の場合は、自社内の同一労働同一賃金対応は企業規模により異なるものの、派遣法に基づく派遣労働者と派遣先労働者との同一労働同一賃金対応は、企業規模を問わず2020年4月1日が施行日となります。
したがって、派遣先では、中小企業であっても2020年4月1日から法改正対応が求められます。

派遣労働者の同一労働同一賃金対応

派遣労働者の同一労働同一賃金は、派遣先に雇用される通常の労働者(無期雇用フルタイム労働者)と派遣労働者との間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。
派遣労働者の場合、派遣先が変わるごとに賃金水準が変わるなど、所得が不安定になることが想定されるため、次のいずれかの対応を確保することが義務化されます。
派遣先均等・均衡方式 ●派遣先の通常の労働者の待遇をもとに派遣労働者の待遇を決定し、均等・均衡待遇を図る
労使協定方式 ●派遣元の労使協定により派遣労働者の待遇を決定 ●派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準以上とする等の要件がある
派遣事業の特性を踏まえて、多くの派遣会社で「労使協定方式」が採用されているようです。

労使協定方式の場合の派遣元への情報提供

派遣先は、次の情報を派遣元に提供します。

①派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先労働者に対して、業務の遂行に必要な能力を付与するために実施する教育訓練

②給食施設、休憩室、更衣室

これらの情報提供は、書面の交付等(書面交付、ファクシミリ、電子メール等)により行なわなければならないとされています。

派遣先としての対応

派遣会社からは、派遣労働者の待遇改善に伴う各種料金の引上げの依頼が始まっています。
改正法により、派遣先が講じるべき措置として、派遣料金の交渉における“配慮”が求められていますが、派遣先にとって合理的な内容か否か精査したいものです。
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連載「人事労務News&Topics」

執筆者プロフィール

小宮弘子氏(特定社会保険労務士)
大手都市銀行本部および100%子会社で人事総務部門を経験後、2003年にトムズ・コンサルタント株式会社に入社、現代表取締役社長。人事・労務問題、諸規程、賃金・評価制度の改定をはじめ、社内制度全般のコンサルティングを中心に行なう。 著書に『この1冊でポイントがわかる 「働き方改革」の教科書』(共著、総合法令出版)、『ストレスチェックQ&A』(共著、泉文堂)などがある。
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