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専門家コラム Professional Eye

2019年11月21日更新

サポートクラブ 税務News&Topics

消費税でも申告期限の延長を要望

[田中康雄氏(税理士)]

税務に関する法改正情報などの最新ニュースや、注目の話題をピックアップ。専門家がわかりやすく解説します。

毎年12月になると税制改正大綱が発表されますが、これに先立ち各府省庁からは改正への要望書が提出されます。今年も令和2年度の税制改正に向けて、さまざまな要望が出されました。
本コラムでは、要望事項のひとつで、税務上の手続きとして新設される可能性がある「消費税申告期限の延長の特例」を取り上げます。

法人税申告期限の延長の特例

法人税、消費税ともに、それぞれの申告期限は、原則として事業年度終了の日の翌日から「2か月以内」とされています。
しかし、会社の基本規則でもある定款の中では、決算を確定する定時株主総会の開催を事業年度終了の日の翌日から「3か月以内」と規定している会社もあります。
このような場合、決算の確定が申告期限を過ぎてしまう恐れがあるため、確定決算に基づく税金計算を前提としている法人税では、届け出により申告期限を1か月延長することを認めています。

消費税申告期限の延長の要望

法人税に対し、消費税はもともと確定決算に基づく税金計算を前提にしていないため、申告期限を延長する理由がなく、法人税のような特例はありませんでした。
しかし、消費税と法人税の申告期限が異なると、消費税を申告した後に新たな事象が発覚した場合には、修正申告や更正の請求などの手続きが必要になります。
そこで、令和2年度の税制改正に向けた要望の中で、法人税と消費税の申告期限が異なることによって生じている事務負担の削減を目的とした「消費税申告期限の延長の特例」の新設が提案されました。

利子税に注意

注意すべきなのは、申告期限が延長されても税の納期限は延長されず、申告期限を過ぎた納税には延滞税が課されるということです。
申告期限の延長が認められているのに、納期限を過ぎると延滞税が課されてしまうというのはすっきりしませんが、申告期限の延長はあくまでも特例であって、法定納期限を遵守する納税者との間で公平性を保っています。
ただし、特例とはいえ法令上申告期限の延長が認められていることから、この延滞税は「利子税」として区分され、通常の延滞税に比べると多少の便宜が図られています。
具体的には、利子税は税務上の費用として申告において損金算入することができますが、延滞税は損金算入できません。また、利子税の税率は延滞税より低くなっています(次項参照)。

利子税・延滞税の税率

利子税と延滞税の税率(割合)は、それぞれの次のとおりです(期間:2019年1月1日~2019年12月31日)。なお、税率は暦年単位で異なります。
利子税・・・年1.6%(還付による加算金も同じ)

延滞税・・・納期限の翌日から2か月以内は、年2.6%
納期限の翌日から2か月を経過した場合は、年8.9%

税の見込納付と精算

申告期限の延長を届け出ている会社では、利子税が課されることを避けるため、多くの場合、法定納期限までにいったん見込納付をします。その後、申告書の提出とともに確定した納税額との差額を精算することになりますが、追加で納税となった場合には、その追加部分に利子税が課されます。
これとは逆に、見込納付した金額が確定納税額を上回る場合には、その差額が還付されます。この場合、更正の請求をする必要はなく、申告書の提出によって自動的に還付を受けることができます。
消費税の申告期限の延長が認められることになっても、納税に関する取扱いは同じです。
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執筆者プロフィール
田中康雄氏(税理士)
税理士法人メディア・エス、社員税理士。慶應義塾大学商学部卒業。法人税、消費税を専門とし、上場企業から中小企業まで税務業務を担当。資産税関連も含め税務専門誌に多数執筆。主要著書『ケース別「事業承継」関連書式集』(共著、日本実業出版社)、『設備投資優遇税制の上手な使い方』(税務経理協会)。