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専門家コラム Professional Eye

2020年8月27日更新

サポートクラブ 労務News&Topics

雇用保険の「被保険者期間」算定方法の変更と実務対応

[矢島志織(特定社会保険労務士)]

労務に関する法改正情報などの最新ニュースや、注目の話題をピックアップ。専門家がわかりやすく解説します。

令和2年8月1日に、厚生労働省が公表している行政手引の「雇用保険に関する業務取扱要領」が、更新(定期更新)されました。内容は多岐にわたりますが、本コラムでは、既に8月1日から施行されている「被保険者期間」の算定方法の変更について、解説していきます。

「被保険者期間」算定方法の変更の概要

失業等給付などの受給要件を満たすためには、離職⽇以前の2年間に「被保険者期間」が通算して原則12か月以上必要となります。今回、この「被保険者期間」の算定方法が、下記のように変更されました。赤字部分が新たに改正(追加)された部分です。
離職日から1か月ごとに区切っていた期間に、賃金支払の基礎となる日数が11日以上ある月、または、賃金支払の基礎となった労働時間数が80時間以上ある月を1か月として計算する
従来、「被保険者期間」は、「離職日から1か⽉毎に区切っていた期間に、賃⾦⽀払基礎日数が11日以上ある月」を1か月として計算するものとされており、労働時間についての要件がありませんでした。そのため、賃金支払基礎日数が10日以下の場合、その月にどれだけ多くの労働時間があっても、被保険者期間には算入されませんでした。
今回、「労働時間数が80時間以上ある月」も1か月として計算できるようになったことで、“雇用のセーフティネット”がより合理的で充実したものとなり、より多くの被保険者の方が受給できるようになったというわけです。

実務上のポイントと留意点

実務担当者としては、各書類の作成を適切に進め、この制度の実効性を高めることが大切です。
特に、『雇用保険被保険者離職証明書』の作成時の記載もれには注意が必要です。賃金支払基礎日数が10日以下の月は、賃金支払基礎となった労働時間数を「備考欄(⑬欄)」に記載します。
ここでポイントとなるのは、「被保険者期間」の算定の基準となる「離職日から1ケ月ごとに区切った期間」は、勤怠集計期間と必ずしも一致しないという点です。賃金締切日とは異なる日で退職した場合などは、改めて労働時間の集計作業が発生することになります。新たな事務工数も発生し、手続きを忘れやすい項目でもありますので、各社の状況に合わせて、仕組みの変更を検討してみてもよいでしょう。

なお、「被保険者期間」の算定方法の変更は離職時だけではなく、令和2年8月1日以降に育児休業や介護休業を取得する場合についても適用されますので、あわせて注意が必要です。
新型コロナウイルスの影響で、短時間勤務の方の失業や、各種休業の取得も増えていると思いますので、適切に手続きを進めましょう。
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連載「サポートクラブ 労務News&Topics」

執筆者プロフィール
矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志-こころ-特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社 代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事。その後、中小企業や上場企業の人事部にて人事労務全般に携わり、社労士合格後、勤務社労士を経て現在に至る。経営者の「志」を形に、そして多様な人財を企業の力に変えていくために組織コンサルティングを行なう一方、人事労務セミナーや企業研修講師としても活動中。
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