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「育児休業給付金」の被保険者期間要件に特例が設けられました

2021年9月10日更新

人事労務News&Topics

「育児休業給付金」の被保険者期間要件に特例が設けられました

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律により、育児休業給付金における被保険者期間の要件が見直され、2021年9月1日より施行されました。本コラムでは具体的な改正内容を解説していきます。

(1)被保険者期間要件の変更

育児休業給付金の支給にあたっては、被保険者期間の要件として、「育児休業開始日を起算点として、その日前2年間に、賃金の支払いを受けていた日が11日以上ある月が12か月以上あること」と定められています。この場合、タイミングによっては要件が満たされず、育児休業給付金の受給ができないケースがありました。このようなケースを解消するため、今回、被保険者期間の起算点を「産前休業開始日等(※)」とする特例が設けられました。
従来の要件 特例要件
育児休業開始日を起算点として、その日前2年間に、賃金の支払いを受けた日が11日以上ある月が12か月以上あること 産前休業開始日等を起算点として、その日前2年間に、賃金の支払いを受けた日が11日以上ある月が12か月以上あること
(※)「産前休業開始日等」とは

今回の特例で起算点とされている「産前休業開始日等」には、産前休業開始日以外に、次のようなものが含まれます。

・産前休業開始前に子を出生した場合・・・子の出生日の翌日
・産前休業に先行して母性保護のための休業をした場合・・・先行する休業の開始日

(2)具体的な事例

【就職;4/1、産前休業;4/5~、出産日;4/30、育児休業;6/26~の場合】

従来の要件(育児休業開始日から起算)で被保険者期間を算定した場合、下図の通り、3/26~産休開始日までの期間は賃金を受けた日が11日以上ないため被保険者期間として計上されません。その結果、被保険者期間は11.5か月となり、要件の12か月にわずかに足りず、給付金の支給対象とはなりません。

<従来の要件>

今回の特例算定により、上記のような場合には、産前休業開始日から起算することができ、要件の12か月を満たすことができるようになりました。

<特例要件>

今回の育児休業給付金の被保険者期間の特例は、育児休業開始日が2021年9月1日以降の方が対象になります。特に、勤務開始後1年程度で産休に入る方などは特例の対象になる可能性がありますので、注意しながら被保険者期間を算定しましょう。
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連載「人事労務News&Topics」

執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て独立。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。また現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
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