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専門家コラム Professional Eye

2021年10月26日更新

サポートクラブ 労務News&Topics

「雇用保険マルチジョブホルダー制度」が新設されます

[矢島志織(特定社会保険労務士)]

労務に関する法改正情報などの最新ニュースや、注目の話題をピックアップ。専門家がわかりやすく解説します。

雇用保険法が改正され、2022年1月1日より、65歳以上の労働者を対象とした「雇用保険マルチジョブホルダー制度」が新設されます。本コラムでは、制度の具体的な内容について解説していきます。

○【重要】雇用保険マルチジョブホルダー制度について
~令和4年1月1日から65歳以上の労働者を対象に「雇用保険マルチジョブホルダー制度」を新設します~
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000136389_00001.html 

(1)制度の概要

従来の雇用保険制度は、主たる事業所(単一の事業所)での労働条件が1週間の所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込み等の加入要件を満たす場合に適用されます。これに対し、雇用保険マルチジョブホルダー制度は、複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、2つの事業所の1週間の所定労働時間を合算して20時間以上となる等の要件を満たす場合、特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)になることができる制度です。
65歳以上の労働者に限定して2022年1月から試行実施し、その効果等を、施行後5年を目途に検証することとされています。

(2)加入要件

雇用保険マルチジョブホルダー制度の適用には、労働者が以下の要件をすべて満たすことが必要となります。

複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること

②2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満であるもの)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること

③2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること

たとえば、65歳以上の労働者が、事業所A(6時間/週)、事業所B(15時間/週)、事業所C(5時間/週)、事業所D(4時間/週)に雇用されていた場合、「事業所Aと事業所B」または「事業所Bと事業所C」で適用することができます。なお、3つ以上の事業所を合算することはできません。


<事業所Aと事業所Bで適用した場合>

(3)加入・喪失手続き

雇用保険マルチジョブホルダー制度は、要件を満たしたとしても必ず加入しなければならないわけではありません。マルチ高年齢被保険者としての申出をする本人が希望し、ハローワークに申出を行なうことで、申出をおこなった日からマルチ高年齢被保険者となることができます。
一方、一度加入すると任意脱退は認められていません。本人が離職した場合や、いずれか一方の事業所で週所定労働時間が5時間未満または20時間以上となった場合、2つの事業所の週所定労働時間が合計20時間未満となった場合等、加入要件を満たさなくなった場合にのみ、雇用保険の資格を喪失することになります。喪失手続きは、喪失日の翌日から起算して10日以内に本人がハローワークに届出を行ないます。
なお、マルチ高年齢被保険者であった方が失業した場合には、一定の要件を満たせば、高年齢求職者給付金を一時金として受給することができるようになります。

(4)雇用保険料の取扱い

雇用保険に加入した日から、事業主に雇用保険料の納付義務が発生します。雇用保険料の計算は、通常の雇用保険と同様に、それぞれの事業主が労働者に支払う賃金総額に事業の種類に応じた保険料率を乗じて計算します。


このように、雇用保険マルチジョブホルダー制度は、資格の取得・喪失手続きは労働者本人が行ないますが、手続きに伴う必要書類への記載や雇用保険料の納付など、事業主の協力が不可欠となっています。他社での勤務状況も関わってくるため、労働者とコミュニケーションをとりながら、注意して労務管理を行ないましょう。
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連載「サポートクラブ 労務News&Topics」

執筆者プロフィール
矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志-こころ-特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社 代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事。その後、中小企業や上場企業の人事部にて人事労務全般に携わり、社労士合格後、勤務社労士を経て現在に至る。経営者の「志」を形に、そして多様な人財を企業の力に変えていくために組織コンサルティングを行なう一方、人事労務セミナーや企業研修講師としても活動中。
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