このたび、厚生労働省より事業主向けの説明資料が公開され、これらの措置について、より具体的な実務対応のポイントが明らかになりましたので、2回に分けて解説していきます。
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000851662.pdf
雇用環境整備の実務ポイント
以前のコラムでお伝えした通り、育児休業等を取得しやすい雇用環境整備として、4つの措置【①研修の実施 、②相談窓口の設置、③自社の育休等取得事例の収集・提供、④制度と育休取得促進に関する方針の周知】のいずれかを講じることが義務化されます。今回、これらの措置について、具体的な実務対応のポイントが以下の通り示されました。
①研修の実施 |
・全労働者を対象とすることが望ましいが、少なくとも管理職については、研修を受けたことがある状態にすること。 |
②相談窓口の設置 |
・相談窓口を形式的に設けるだけでなく、実質的な対応が可能な窓口が設けられていること。 ・労働者に対する窓口の周知等により、労働者が利用しやすい体制を整備しておくこと。 |
③自社の育休等取得事例の収集・提供 |
・自社の育児休業の取得事例を収集し、当該事例の掲載された書類の配布やイントラネットへの掲載等により、いつでも労働者が閲覧できる状態にすること。 |
④制度と育休取得促進に関する方針の周知 |
・育児休業に関する制度および育児休業の取得の促進に関する事業主の方針を記載したものを、事業所内やイントラネットへ掲示すること。 |
新しい取り組みに戸惑いもあるかもしれませんが、このような労働者の声が集まることにより、風通しの良い組織づくりにも繋がることでしょう。
また、こういった声を採用活動のアピールポイントに活用してもよいかもしれません。
<取得事例サンプル>
※「育児休業取得事例記載例」(厚生労働省)をもとに作成
育児休業取得事例記載例
育児休業の取得事例
氏名:厚労 太郎さん
取得期間:子の出生直後から3か月間
~我が社、5人目の男性育児休業取得者~
例)今回2人目の出産で育児休業を取得させていただきました。
1人目の出産で妻の大変さを感じたため、取得したいと思いました。
例)とても喜んでもらえました。
(上司・同僚の反応)例)育児休業を取得することを親身にサポートしていただきました。
(取得にあたって準備したこと(仕事面))例)取引先関係者への説明等を事前に行ないました。
また、業務の見える化を徹底し、何があっても万全な状態まで準備しました。
例)仕事面の準備に追われていたので、家庭面ではとくに準備していませんでした。
(育児休業中どう過ごしたか)例)育児に慣れていないこともあり、忙しい日々で、睡眠時間は仕事をしている時よりもとれない日もありました。
(復帰後の働き方と育児について)例)育児休業を取得したことで、育児サポートの大切さを知り、復帰後において“いかに効率的に育児と仕事を両立していくか”という意識へと繋がりました。
効率的に仕事を行なう工夫が部署全体の業務効率に繋がるということも意識しながら、今は仕事をしています。
例)育児休業を取得させていただきましてありがとうございました。
育児という限られた時間を過ごせたお陰で子どものため・家族のためにもっと仕事を頑張ろうと思うことができ、自分自身の意識の成長を感じるとともに、人生へのモチベーションが大きく変わりました。
このような時間をいただいたこと、とても感謝しております。
例)自分の人生観を変えた時間になりました。
はじめは、育児休業終了後、自分の居場所があるか等不安もありましたが、○○社長、上司や同僚の皆さんが復帰を温かく迎えて下さり、気持ちよく仕事ができました。自社で働けて本当に良かったです。
これから育休を取得する方、体験談などお話ししますので気軽に声をかけてください。
当課での男性育休取得は初めてでしたが、厚労さんの育休取得が業務分担の見直しと見える化につながり、課内全体で生産性を意識した働き方が進むきっかけとなりました。ぜひ今後も、育児と仕事を両立して、若手社員のモデルとなってもらいたいと思います。
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000852918.pdf