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<改正育児・介護休業法>2022年4月より雇用環境の整備等が義務化されます

2021年10月11日更新

人事労務News&Topics

<改正育児・介護休業法>2022年4月より雇用環境の整備等が義務化されます

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
以前のコラムにて、2021年6月に成立した改正育児・介護休業法について取り上げましたが、このたび、改正法の施行スケジュールと、事業主が講ずべき措置の詳細が公表されました。本コラムでは、施行スケジュールの概要と、2022年4月より義務化される雇用環境整備等に関する措置の具体的な内容について解説していきます。

(1)3段階の施行スケジュール

今改正の目玉である「出生時育児休業」(いわゆる「産後パパ育休」)の創設を含め、一部の内容については、施行日が見込みとされていました。
今回、それらの施行日が正式に決定し、以下のような3段階のスケジュールで施行されることとなりました。
2022年4月1日施行 ①雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化
②有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
2022年10月1日施行 ①「産後パパ育休」の創設
②育児休業の分割取得
2023年4月1日施行 育児休業取得状況の公表義務化
今回はこの中から、2022年4月1日施行の「雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化」について、具体的な内容を見ていきましょう。

(2)雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の具体的な内容

①育児休業を取得しやすい雇用環境の整備

育児休業と産後パパ育休の申し出が円滑に行なわれるようにするため、雇用環境の整備として次のいずれかの措置を講じることが義務化されました。なお、これらの措置は複数講じることが望ましいとされています。
①育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
②育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口の設置)
③自社の労働者の育児休業・産後パパ育休の取得事例の収集・提供
④自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
※「産後パパ育休」に関するものは2022年10月1日より対象となります。

これらの措置は、職場の雰囲気や、育児休業等の制度を知らなかったことを理由として、“申し出ができなかった”という事態を防ぐためのものです。自社にとって、どの措置をとれば円滑な運用に繋がるのか、今のうちから検討しておく必要があります。「研修の実施として育休制度についての解説動画を作成する」、「育休取得事例を冊子化して配布する」など、自社に合った方法で準備を進めましょう。

②個別の周知・意向確認の措置

本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、以下の4つの周知事項と休業の取得意向の確認を個別に行なう必要があります

<周知事項>
①育児休業・産後パパ育休に関する制度について
②育児休業・産後パパ育休の申し出先
③育児休業給付に関すること
④労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険の取扱い
※「産後パパ育休」に関するものは2022年10月1日より対象となります。

周知資料等が整備されていない会社はもちろん、すでに育休制度についての周知資料等があり、きちんと労働者に対して説明ができている会社についても、2022年10月以降には新設された「産後パパ育休」についての説明が必要となります。今からしっかりと準備を進めていきましょう。
なお、個別周知・意向確認の方法については、面談、書面交付、FAX、電子メールのいずれかの方法で行なうこととされています。
いずれの方法においても、育児休業の取得を控えさせるような形での個別周知・意向確認は認められませんので注意しましょう。

個別周知・意向確認、事例紹介、制度の方針周知ポスター例は、近日、厚生労働省のホームページに掲載予定となっています。随時情報を追いながら、事前準備を進めましょう。
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連載「人事労務News&Topics」

執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て独立。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。また現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
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