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2022年10月から始まる社会保険適用拡大の事務手続き

2022年6月10日更新

人事労務News&Topics

2022年10月から始まる社会保険適用拡大の事務手続き

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
以前のコラムでは、社会保険の適用拡大の内容について解説しました。
先日、厚生労働省から「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集(令和4年10月施行分)」が公表されましたので、実務ポイントを解説します。

(1)特定適用事業所に関する事務手続き

2022年10月から厚生年金保険の被保険者(短時間労働者を除きます)の総数が常時100人を超える事業所は「特定適用事業所」に該当します。
特定適用事業所
事業所の要件 現行

2022年10月から

2024年10月から

厚生年金保険の被保険者の総数 常時500人を超える事業所 常時100人を超える事業所 常時50人を超える事業所
特定適用事業所に該当した場合は、「特定適用事業所該当届」を事務センター等(健康保険組合に加入している場合は健康保険組合)へ届け出ます。
施行日(2022年10月1日)時点で、特定適用事業所に該当する場合は、日本年金機構が特定適用事業所に該当したものと取り扱うため、「特定適用事業所該当届」の届出は不要です。そのため、会社としての手続きはありませんが、一方で、被保険者の資格取得届は必要になります。具体的には、特定適用事業所に該当し、新たに被保険者資格を取得する短時間労働者がいる場合は、その者に係る「被保険者資格取得届」を事務センター等(健康保険組合に加入している場合は健康保険組合)へ届け出ます。

(2)特定適用事業所に該当するか否かの判断ポイント

特定適用事業所に該当するか否かの判断ポイントは次のとおりです。

「100人を超える」のカウント
被保険者は、厚生年金保険の被保険者の総数になります。しかし、次の者はカウントに含まれないため注意しましょう。
<厚生年金保険の被保険者であってもカウントに含まれない者>
①短時間労働者
②70歳以上で健康保険のみ加入している者
「常時100人を超える」とは
厚生年金保険の被保険者数が、12か月のうち、6か月以上で100人を超えることが見込まれる場合を指します。法人事業所の場合は、法人番号ごとに判断を行ないます。

(3)機構から送付されるお知らせ

施行日(2022年10月1日)時点で特定適用事業所に該当する場合や、該当する可能性がある適用事業所に対しては、施行日より前に日本年金機構からお知らせが送付されます。
お知らせの種類(3種類)と、送付されるタイミングは次のとおりです。
「特定適用事業所に該当する可能性がある旨のお知らせ」

①2021年10月から2022年7月までの各月のうち、厚生年金保険の被保険者数が5か月で100人を超えたことが確認できた場合(8月頃送付予定)

②2021年10月から2022年8月までの各月のうち、厚生年金保険の被保険者数が5か月で100人を超えたことが確認できた場合(9月頃送付予定)

 
「特定適用事業所該当事前のお知らせ」
2021年10月から2022年7月までの各月のうち、厚生年金保険の被保険者数が6か月以上で100人を超えたことが確認できた場合(8月頃送付予定)
 
「特定適用事業所該当通知書」

①2021年10月から2022年7月までの各月のうち、厚生年金保険の被保険者数が6か月以上で100人を超えたことが確認できた場合(10月頃送付予定)

②2021年10月から2022年8月までの各月のうち、厚生年金保険の被保険者数が6か月以上で100人を超えたことが確認できた場合(10月頃送付予定)

「特定適用事業所該当通知書」が届き、新たに被保険者資格を取得する短時間労働者がいる場合は、その者に係る「被保険者資格取得届」の届出を忘れずに行ないましょう。
今回の社会保険の適用拡大の実務について、7月に開催されるセミナー「非正規社員の雇用ルールと労務管理のポイント」の講師を務めさせていただくことになりました。
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連載「人事労務News&Topics」

執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て独立。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。また現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
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