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2022年10月からの社会保険の適用拡大について

2021年2月25日更新

人事労務News&Topics

2022年10月からの社会保険の適用拡大について

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
2020年5月、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立し、2022年10月より、社会保険の適用拡大が実施されることになりました。これにより、従業員数500人以下の企業で、段階的にパート・アルバイトの方の社会保険加入が義務化されることになります。本コラムでは、適用拡大の内容について具体的に解説していきます。

(1)適用拡大の対象となる企業

現在、パート・アルバイトなど短時間労働者の社会保険加入が義務付けられているのは、従業員数が501人以上の企業についてです。この企業規模要件が、2022年10月1日より「101人以上500人以下」に、2024年10月1日より「51人以上100人以下」に、段階的に引き下げられることになります。
ここで従業員数とは、フルタイムの労働者と、週労働時間がフルタイム労働者の3/4以上である労働者を合わせた人数、つまり、現在の厚生年金保険の適用対象者数をいいます。
従業員数は、月ごとにカウントし、直近12ヶ月のうち6ヵ月で基準を上回ったら適用対象となります。なお、一度適用対象となると、従業員数が基準を下回っても引き続き適用されますが、被保険者の3/4の同意があれば適用対象外となることも可能です。

(2)新たな加入対象者

上記の企業規模要件に該当する企業において、以下の要件すべてに該当する労働者は、新たな社会保険の加入対象者となります。
①週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
契約上の所定労働時間であり、残業時間等は含みません。
ただし、実労働時間が2か月連続で週20時間以上となり、なお引き続くと見込まれた場合、3ヵ月目からは保険加入となります。
②月額賃金が8.8万円以上
基本給および諸手当を指し、残業代・賞与・臨時的な賃金等は含みません。
③2か月以上の雇用見込みがある
④学生ではない

(3)社会保険適用拡大にむけて

厚生労働省のサイトに「社会保険適用拡大特設サイト」が設けられました。
動画やガイドブック等が掲載され、適用拡大の内容について詳しく紹介されています。また、会社が負担する社会保険料を簡単に試算できる「社会保険料かんたんシミュレーター」も設置され、社内準備の流れがとても見やすくまとめられていますので、参考にしてみてください。会社として適用拡大に向けてどのように対応していくのか、今のうちから検討しておくとよいでしょう。 パート・アルバイトの方の新たな社会保険加入にあたっては、労働者から「社会保険に入りたくない」と加入を拒否されるケースなども考えられますが、社会保険の加入は、労働者の判断によって選べるものではなく、要件を満たしている労働者は、必ず加入しなければなりません。労働者本人が希望しないからといって、加入手続きを行なわなかった場合、企業が義務を果たしていないことになり、罰則(6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金)が課されます。労働者の意思を尊重して社会保険に加入しない選択を検討する場合には、労働条件の変更等により、社会保険の加入対象とならない働き方を提案するのもひとつでしょう。労働者とコミュニケーションをとり、社会保険の制度をしっかり説明していくことも重要です。
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連載「人事労務News&Topics」

執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て独立。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。また現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
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