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10月から始まる出生時育児休業 ―― 給付金の申請手続きを詳解!

2022年9月12日更新

人事労務News&Topics

10月から始まる出生時育児休業 ―― 給付金の申請手続きを詳解!

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
2022年10月より施行される改正育児介護休業法に対応した「育児休業給付の内容と支給申請手続」が厚生労働省より公表されましたので、詳しく解説していきます。

(1) 出生時育児休業とは

2022年10月より出生時育児休業、通称「産後パパ育休」が創設されます。 この休業は、子の出生後8週間の期間内に、合計4週間(28日)までの取得が可能です。また、4週間を2回に分けて分割取得することも、4週間連続で取得することもできます。
現行のいわゆる「パパ休暇」(子の出生後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合に、再度、育児休業が取得可能となる休暇)は、2022年9月末をもって廃止となります。

(2) 出生時育児休業給付金の支給要件

出生時育児休業を取得し、雇用保険の被保険者が次の支給要件を満たす場合には、「出生時育児休業給付金」の支給を受けることができます。


<支給要件>

①子の出生日から8週間を経過する日の翌日までの期間内に、4週間(28日)以内の期間を定めて出生時育児休業を取得した雇用保険の被保険者であること

②休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(11日以上ない場合は、就業した時間数が80時間以上の)完全月が12か月以上あること

③休業期間中の就業日数が、最大10日(10日を超える場合は、就業した時間数が80時間以下)であること

なお、期間を定めて雇用される人の場合、「子の出生日から8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに、その労働契約の期間が満了することが明らかでないこと」が追加要件となります。


<出生時育児休業給付金の対象とならないケース>

①出生時育児休業を3回に分けて取得した場合の3回目の休業

②出生時育児休業を28日間を超えて取得した場合の28日超過分の休業

出生時育児休業は、分割取得できるのは2回まで、また28日が上限となります。
ただし、3回目以降の出生時育児休業や、28日を超えた分の出生時育児休業については、雇用保険被保険者と会社との間で育児休業に振り替えることに合意をすれば、育児休業給付金として支給申請することができます。

(3) 支給申請期間

出生時育児休業給付金の支給申請期間は、子の出生日から8週間を経過する日の翌日より、当該日から起算して2か月を経過する日の属する月の末日までとなります。
なお、出生時育児休業を2回に分割して取得していたとしても、支給申請は1回にまとめて行ないます。

たとえば、10月15日に出産し、出生後8週間以内に計20日間の出生時育児休業を取得した場合、出生時育児休業給付金の支給申請期間は、12月10日(出生日から8週間を経過する日の翌日)より、翌年の2月末日(12月10日から起算して2か月を経過する日の属する月の末日)までとなります。

(4) 出生時育児休業給付金の支給申請手続き

出生時育児休業給付金の支給を受けるには、出生時育児休業を開始した雇用保険被保険者を雇用している事業主が、以下の申請手続きを行なう必要があります。
提出者 雇用保険被保険者を雇用している事業主
添付書類(①②の両方)

①雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書

②育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金支給申請書(新しい様式)

添付書類(①②の両方)

①賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、タイムカード、育児休業申出書、育児休業取扱通知書など

②母子健康手帳、医師の診断書(分娩予定日証明書)など

提出先 事業所の所在地を管轄するハローワーク  *電子申請も可
提出期間 子の出生日から8週間を経過する日の翌日から提出が可能となり、当該日から2か月を経過する日の属する月の末日が提出期限

(5) 支給額

出生時育児休業給付金の支給額の計算式は以下のとおりです。
休業開始時賃金日額×出生時育児休業をした日数(上限28日)×67%
考え方は、現行法の育児休業給付金と同様ですが、出生時育児休業給付金が支給される日数は、育児休業給付の支給率67%の上限日数(180日)に通算されます。 つまり、28日分の出生時育児休業給付金の支給を受けた場合、支給率67%の育児休業給付金を受けることができるのは、残り152日分となります。


出生時育児休業の創設により、実務対応が大きく変更になります。新しい様式、届出期限等に注意して、運用していきましょう。
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連載「人事労務News&Topics」

執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て独立。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。また現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
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