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専門家コラム Professional Eye

2022年9月5日更新

サポートクラブ 税務News&Topics

課税・非課税?それとも… 損害賠償金を授受した際の消費税の取扱い

[田中康雄氏(税理士)]

税務に関する法改正情報などの最新ニュースや、注目の話題をピックアップ。専門家がわかりやすく解説します。

これからの時期、台風などの自然災害等が頻発するシーズンとなります。
法人が所有している資産が被災した場合に、これを保険事故として受け取る保険金や共済金等については対価性がなく、消費税の申告上は課税取引とはなりません。
一方で、故意または過失によって損害を被った場合、その補償として受け取る損害賠償金については、保険金等とは異なり、消費税の申告上は課税取引に該当する場合があるため注意が必要です。
本コラムでは、こうした損害賠償金に対する消費税の取扱いを確認します。

一般的な考え(=対象外)

事業として対価を得て行なわれる資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供については、消費税の申告上、これを課税の対象として取り扱います。
一方で、心身または資産に加えられた損害により受ける金銭等については、一般的に対価性がなく、消費税の課税の対象とはなりません。
たとえば、経済的な損失を受けたことに対して支払われる慰謝料をはじめ、予約の解除や取消しに伴うキャンセル料、アパートの賃貸借契約の中途解約による違約金等がこれに該当するといえるでしょう。

実質による判定(課税の可否の判断)

本来得られるべきであったにもかかわらず、相手(加害者)の事情によって得ることができなかった、いわゆる逸失利益の補填金に該当するような損害賠償金については、消費税の取扱いは課税取引にはならず、対象外ということになります。しかし、単に損害賠償金という名目だけで、そのすべてを対象外として取り扱うことはできません。
次のように実質的に資産の譲渡等に該当する場合には、損害賠償金として受け取った場合であっても、消費税上は課税の対象となります。

・損害を受けた棚卸資産等が加害者に引き渡される場合で、その棚卸資産等がそのまま、あるいは軽微な修理を加えることにより使用できるときに、その加害者からその棚卸資産等を所有する者が収受する損害賠償金

・無体財産権の侵害を受けた場合に、加害者からその無体財産権の権利者が収受する損害賠償金

・不動産等の明渡しの遅延により加害者から賃貸人が収受する損害賠償金

たとえば、商品等の運搬中の破損に対する損害賠償金について、外側の包装の破れ等の程度であって本体に何らの支障はないものの、顧客への販売が難しくなったため運送会社が引き取るようなケースは、消費税上の取扱いは課税取引となるでしょう。
これに対し、ビンなどが破損したことによって、これを飲食等に充てることができないような場合に受け取る金銭等については、たとえ請求書等において消費税の額が表示されていたとしても、その全額が対象外となります。
また、特許等の侵害によって無許可でこれを使用した者から権利者が収受する損害賠償金は、あくまでもその実態がその特許等の使用料に相当するため、課税の対象となります。
そのほか、テナントとの賃貸借契約期間を超えた部分に対して賃借人に請求する損害賠償金についても、その実態は割増家賃にほかならず、課税の対象となります。


コロナの影響で、特に宿泊施設や飲食店などでは予約のキャンセルが相次ぎました。
解約等のタイミングにより、それぞれ一定の割合を収受するようなキャンセル料は、逸失利益の補填金として消費税の取扱いとしては対象外ということになり得ます。
一方、不泊や無断キャンセルなどに対して収受する宿泊料や飲食代金等に相当するものは、実際の代価として課税取引と判定することになるでしょう。
このように、損害賠償金の性格を有する金銭等を収受あるいは支払った場合には、その実態に応じて消費税の課否を判定しなければならないことに注意が必要です。
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執筆者プロフィール
田中康雄氏(税理士)
税理士法人メディア・エス、社員税理士。慶應義塾大学商学部卒業。法人税、消費税を専門とし、上場企業から中小企業まで税務業務を担当。資産税関連も含め税務専門誌に多数執筆。主要著書『ケース別「事業承継」関連書式集』(共著、日本実業出版社)、『設備投資優遇税制の上手な使い方[第2版]』(税務経理協会)、『こんなに使える試験研究費の税額控除』(税務経理協会)。
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