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専門家コラム Professional Eye

2022年11月10日更新

人事労務News&Topics

2023年4月から法定割増賃金率の引き上げが中小企業にも適用されます

[矢島志織(特定社会保険労務士)]

労務に関する法改正情報などの最新ニュースや、注目の話題をピックアップ。専門家がわかりやすく解説します。

2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf

(1) 月60時間を超える時間外労働の割増賃金率の引き上げ

「月60時間を超える時間外労働の割増賃金率の引き上げ」は、大企業に対しては2010年4月より適用されています。
中小企業への適用は、当面の間猶予されていましたが、ついに2023年4月より適用が始まります。
その結果、中小企業についても、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が「25%以上」から「50%以上」に引き上げられます。
50%以上への引き上げは、2023年4月1日以降の労働に対して適用されますので、2023年4月1日以降の賃金締切日までの期間からとなります。
具体的には、給与計算期間が末締めの会社では、2023年4月1日~4月30日から、月60時間を超える時間外労働の集計を開始します。
また、20日締めの会社は、2023年4月1日~20日と期間が半端ではありますが、この間の時間外労働の集計を行なうことになります。

(2) 月60時間を超える時間外労働とは

時間外労働とは、1週40時間、1日8時間の「法定労働時間」を超える労働のことをいいます。
また、「週に1日」または「4週間を通じて4日」の休日を法定休日といいます。
本内容は、「月60時間を超える時間外労働」に対するものですので、月60時間を集計する際には、以下の点に注意が必要です。
<1か月60時間を集計するうえでの注意点>

①休日の取扱い
たとえば、休日が「所定休日(会社が任意で定めた休日)」と「法定休日(法律で定めた休日)」の2種類である場合、「所定休日労働」は「月60時間を超える時間外労働」の集計に含める必要があります。
一方、「法定休日労働」は、「月60時間を超える時間外労働」の集計に含まれません。

②所定労働時間が8時間未満の場合
たとえば、所定労働時間が7時間の場合、所定労働時間7時間を超える時間を集計するのではなく、1日8時間を超える時間を集計します。

(3) 2023年4月以降の割増賃金率について

2023年4月以降、労働の種類ごとの割増賃金率は以下のようになります。
時間外労働が深夜に及んだ場合、割増賃金率は次の2種類になります。

①月60時間以下の時間外労働で、深夜労働を行なった場合
割増賃金率は、25%と25%を合わせて、「50%」以上

②月60時間を超える時間外労働で、深夜労働を行なった場合
割増賃金率は、50%と25%を合わせて、「75%」以上

仮に、法定の割増賃金率を下回るような違反の運用をしていた場合には、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されることに留意しましょう。

(4) 最後に

以上の通り、2023年4月から、中小企業においても月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が「50%以上」になります。「以上」ということですので、自社の割増賃金率を決めたうえで、就業規則へ明記することも重要になります。
ここで、自社は「月60時間を超える時間外労働がないから就業規則の改定をしない」という考え方ではなく、社内のルールを法律に合わせて適切に改定しましょう。
自社のルールが法令を順守したものになっていることがわかれば、従業員もより安心して働けるようになるでしょう。
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連載「人事労務News&Topics」

執筆者プロフィール
矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て独立。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。また現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
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