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2024年4月から労働条件明示のルールが変わります(その②)

2023年5月11日更新

人事労務News&Topics

2024年4月から労働条件明示のルールが変わります(その②)

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
2024年4月から労働条件の明示についてルールが改正されます。
前回「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」に続き、「有期労働契約に関する労働条件の明示」について改正内容等を解説していきます。

(1) 更新上限の明示

2024年4月より、有期労働契約の締結と契約更新のタイミングごとに「更新上限の有無」と「更新上限がある場合、その内容」の明示が必要になります。
なお、更新上限とは、有期労働契約の通算期間または更新回数の上限のことを指し、たとえば「通算契約期間2年まで」「契約更新の回数3回まで」と明示することになります。

本内容の労働条件明示例は、次の通りです。

労働条件通知書 兼 労働契約書

1.株式会社△△△△(以下「会社」という。)と ○○○○(以下「本人」という。)とは、以下の条件により労働契約を締結する。

雇用期間 ○年○月○日~○年○月○日
更新

1.契約更新の有無:契約の更新をする場合があり得る

2.契約の更新は、次のいずれかにより判断する

・契約期間満了時の業務量

・従事している業務の進捗状況

・本人の能力、業務成績、勤務態度

・会社の経営状況

3.更新上限の有無【 無 ・ 有 (更新○回まで/通算契約期間○年まで)】

(2) 更新上限を新設・短縮する際の説明

有期労働契約の締結と契約更新において、下記のいずれかの条件とする際、有期契約労働者に対し、有期労働契約の「更新上限を設ける理由」または「更新上限を短縮する理由」をあらかじめ説明することが必要になります。

①最初の契約締結より後に、契約上限を新たに定める場合

②最初の契約締結の際に設けていた契約上限を短縮する場合

説明する内容は、契約更新の上限を設けた理由、有期労働契約の更新回数を短縮する理由となりますが、詳細は公表されていません(今後公表されるかもしれません)。

いずれにせよ、後出しする労働条件については、背景等を労働者にきちんと説明をしないと、労働者は納得しませんので、とても重要な改正の1つといえます。

(3) 無期転換申込機会の明示/無期転換後の労働条件の明示

続いての改正内容を解説する前に、2013年4月より施行されている「無期転換ルール」について少し確認しておきましょう。

*無期転換ルールとは*
同一の使用者との間で、有期労働契約が通算5年を超えて更新された場合、労働者からの申込により、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できる制度です(労働契約法18条)。
なお、有期労働契約は、2013年4月以降の契約が通算対象となります。
今回の改正により、「無期転換を申し込む権利」が発生する契約更新のタイミングごとに、「無期転換を申し込むことができる旨」の明示が必要になります。
つまり、無期転換を申し込む権利が発生した有期契約労働者に対し、「あなたは無期転換できますよ」と明示してあげることになります。

また、同じタイミングで、「無期転換後の労働条件の明示」も必要になります。
本内容の労働条件明示例は、次のとおりです。

労働条件通知書 兼 労働契約書

1.株式会社△△△△(以下「会社」という。)と ○○○○(以下「本人」という。)とは、以下の条件により労働契約を締結する。

雇用期間 ○年○月○日~○年○月○日
契約期間

1.契約更新の有無:契約の更新をする場合があり得る

2.契約の更新は、次のいずれかにより判断する

・契約期間満了時の業務量

・従事している業務の進捗状況

・本人の能力、業務成績、勤務態度

・会社の経営状況

3.更新上限の有無【 無 ・ 有 (更新○回まで/通算契約期間○年まで)】

(労働契約法に定める同一企業との通算契約期間が5年を超える有期労働契約の締結の場合)

本契約期間中に、会社に対して期間の定めのない労働契約(無期労働契約)の締結の申込をしたときは、本契約期間の末日の翌日から、無期労働契約での雇用に転換することができる。この場合の本契約からの労働条件の変更の有無(無・有(別紙の通り))
出所:厚生労働省 モデル労働条件通知書
無期転換後の労働条件の明示については、前回のコラムで記載した「絶対的明示事項(期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項と昇給に関する事項を除く)」を別途、書面等の交付により明示する必要があります。

明示にあたっては、他の通常の労働者(無期雇用フルタイム、正社員等のいわゆる正規型の労働者)との均衡を考慮した事項(たとえば、業務の内容、責任の程度、異動の有無・範囲等)について、有期契約労働者に説明するように努めなければなりません。


2回にわたり、労働条件の明示に関する改正内容を解説しました。来年4月のルール改正に向けて、あらためて無期契約労働者の定義、労働条件等の処遇の整理、転換制度などを見直す時期かもしれません。

有期労働契約から無期労働契約への転換制度を作る場合、次のようにいろいろなパターンが考えられます。

・有期契約の時給パートから、契約期間だけ無期へ転換する無期労働契約

・有期契約の月給社員から、契約期間だけ無期へ転換する無期労働契約

・有期契約の月給社員から、正社員の労働条件へ転換する無期労働契約

・有期契約の月給社員から、限定正社員の労働条件へ転換する無期労働契約

顧問社労士等にも相談しながら、「自社にあった働く制度作り」を進めていきましょう。
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連載「人事労務News&Topics」

執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て独立。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。また現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
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