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続報! 2025年度の地域別最低賃金の決定について

2025年9月10日更新

人事労務News&Topics

続報! 2025年度の地域別最低賃金の決定について

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
前回のコラムでは、中央最低賃金審議会が示した地域別最低賃金額の改定「目安」を紹介しました。
≫ 人事労務News&Topics :『注目の「最低賃金」―引上げ目安は過去最大となる全国平均63円!

本コラムでは、その後の地方最低賃金審議会での審議・答申を経て決定された、最新の地域別最低賃金額をお届けします。

(1)都道府県ごとの決定状況

中央最低賃金審議会は2025年8月4日に、令和7年度の地域別最低賃金額改定「目安」を提示しました。
その後、各都道府県の審議会において議論が進められ、労働局長の決定・公示を経て、正式な金額が確定しています。
2025年度は、目安額を大幅に上回る引上げを行なった都道府県や、施行時期を2026年とする都道府県もあり、例年以上に地域差が際立つ結果となりました。

以下は、2025年9月4日時点で公表されている2025年度の地域別最低賃金一覧です(発効日順)。
都道府県 2025年度 引上額 発効年月日(予定を含む)
栃木県 1,068円 64円 2025年10月1日
新潟県 1,050円 65円 2025年10月2日
千葉県 1,140円 64円 2025年10月3日
東京都 1,226円 63円 2025年10月3日
長野県 1,061円 63円 2025年10月3日
鳥取県 1,030円 73円 2025年10月4日
北海道 1,075円 65円 2025年10月4日
宮城県 1,038円 65円 2025年10月4日
兵庫県 1,116円 64円 2025年10月4日
神奈川県 1,225円 63円 2025年10月4日
滋賀県 1,080円 63円 2025年10月5日
石川県 1,054円 70円 2025年10月8日
福井県 1,053円 69円 2025年10月8日
富山県 1,062円 64円 2025年10月12日
茨城県 1,074円 69円 2025年10月12日
山口県 1,043円 64円 2025年10月16日
大阪府 1,177円 63円 2025年10月16日
香川県 1,036円 66円 2025年10月18日
岐阜県 1,065円 64円 2025年10月18日
愛知県 1,140円 63円 2025年10月18日
鹿児島県 1,026円 73円 2025年11月1日
和歌山県 1,045円 65円 2025年11月1日
広島県 1,085円 65円 2025年11月1日
埼玉県 1,141円 63円 2025年11月1日
静岡県 1,097円 63円 2025年11月1日
宮崎県 1,023円 71円 2025年11月16日
奈良県 1,051円 65円 2025年11月16日
福岡県 1,057円 65円 2025年11月16日
島根県 1,033円 71円 2025年11月17日
青森県 1,029円 76円 2025年11月21日
佐賀県 1,030円 74円 2025年11月21日
三重県 1,087円 64円 2025年11月21日
京都府 1,122円 64円 2025年11月21日
岩手県 1,031円 79円 2025年12月1日
長崎県 1,031円 78円 2025年12月1日
愛媛県 1,033円 77円 2025年12月1日
高知県 1,023円 71円 2025年12月1日
沖縄県 1,023円 71円 2025年12月1日
岡山県 1,047円 65円 2025年12月1日
山梨県 1,052円 64円 2025年12月1日
山形県 1,032円 77円 2025年12月23日
福島県 1,033円 78円 2026年1月1日
熊本県 1,034円 82円 2026年1月1日
大分県 1,035円 81円 2026年1月1日
徳島県 1,046円 66円 2026年1月1日
群馬県 1,063円 78円 2026年3月1日
秋田県 1,031円 80円 2026年3月31日

(2)2025年度の特徴

1.目安額超えの引上げ

熊本(+82円)、大分(+81円)、秋田(+80円)など、目安を大幅に上回る引上げが実施されています。
地域経済の事情や物価水準の上昇が強く意識された結果です。

2.発効時期のばらつき

多くの都道府県は2025年10月から発効ですが、秋田、群馬、徳島、大分、熊本、福島は2026年発効とされています。
事業者には長期的な見通しを持った対応が求められます。

3.全国1,000円超えを達成

全都道府県で最低賃金が初めて1,000円を超えました。
賃金水準の「底上げ」として大きな節目といえます。

(3)実務上の留意点

1.最低賃金額以上の時給単価の確認

月給(日給月給)制の従業員は、最低賃金額を下回っていないかを確認することが必要です。
確認方法は、前回のコラムをご参照ください。
≫ 人事労務News&Topics :『注目の「最低賃金」―引上げ目安は過去最大となる全国平均63円!

2.適用日の確認

地域別最低賃金は、事業場が属する都道府県の最低賃金が適用されます。
都道府県ごとに発効日が異なるため、複数拠点を持つ企業では特に注意が必要です。

ちなみに、在宅勤務の人に適用される地域別最低賃金は、どのように考えるべきでしょうか?

通達では、場所的に分散しているものであっても、出張所、支所等で規模が「著しく小さく」組織的関連ないし、「事務能力等を勘案して一の事業という程度の独立性がないもの」については、直近上位の機構と一括して一の事業として取り扱うこととされています。

このため、在宅勤務者の居住地における地域別最低賃金ではなく、「直近上位の機構と一括して一の事業として取り扱う」ため、直近上位の事業場が属する都道府県の最低賃金が適用されます。
直近上位の事業場とは、「指揮命令がどこから出ているか」を判断基準とするとわかりやすいでしょう。


今後も政府が掲げる「全国平均1,500円」を目指した取組みが続くことが見込まれています。
“最低賃金1,500円時代”の到来に備えた戦略的な労務管理が、企業にとってますます重要になるでしょう。
執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/ISO30414リードコンサルタント/学校法人産業能率大学 非常勤講師/健康経営エキスパートアドバイザー

SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て開所。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
志-こころ- 特定社労士事務所

連載「人事労務News&Topics」

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