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2026年に予定されている人事・労務関連の主な改正や新制度

2026年1月13日更新

人事労務News&Topics

2026年に予定されている人事・労務関連の主な改正や新制度

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
2026年は、人事・労務分野において「人的資本をどう見せ、どう説明するか」「誰一人取り残さない働く環境をどう整えるか」が、これまで以上に企業に問われる年になります。
本コラムでは、2026年に予定されている主な改正や新制度について、実務上のポイントを整理します。

<2026年に予定されている人事・労務関連の主な改正や新制度>

(1)女性活躍推進法の改正(2026年4月1日施行)

女性活躍推進法に基づく情報公表義務が強化されます。
これまで、常時雇用する労働者数が301人以上の企業に「男女間賃金差異」の公表が義務付けられていました。
今回の改正では、常時雇用する労働者数が101人以上の企業についても、情報開示の必須項目として「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の公表が義務化されます。

【主なポイント】

1.男女間賃金差異の公表義務
対象企業規模を、常時雇用する労働者数が301人以上から101人以上へ改定

2.女性管理職比率の公表義務
新たに義務化され、対象企業規模は、常時雇用する労働者数が101人以上

●実務上の注意点

この改正は、単に数値を「出せばよい」というものではありません。
「男女間賃金差異」は、等級構成・職種偏り・非正規比率の影響を強く受けます。
また、数値が出た瞬間から、社内外から質問が出た際に、「数字に対する説明」を伴うことが考えられます。
法令上、数値の説明義務はありませんが、従業員から説明を求められた場合はもちろん、求めがなかった場合であっても、「その数値にどのような意味や背景があり、どのようなストーリーをもって改善していくか」等を発信していくと、従業員の信頼や安心感に繋がるでしょう。
また、「女性管理職比率」は、管理職の定義(課長相当職、専門職、役職手当の扱い等)を社内で統一し、算定ロジックをわかりやすく文書化などしておくと、実務において後々の混乱回避になるでしょう。

≫ 人事労務News&Topics:『2026年4月から「女性管理職比率」などの情報公表が義務化されます
 

(2)高年齢労働者の労災防止対策の強化(2026年4月1日施行)

労働安全衛生法の改正により、高年齢労働者(60歳以上)に対する労災防止対策が、事業者の努力義務として位置づけられます。

【主なポイント】
1.安全衛生管理体制の確立 2.職場環境の改善 3.高年齢労働者の健康や体力の状況の把握 4.高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応 5.安全衛生教育

●実務上の注意点

今回の改正は「努力義務」ですが、努力義務だから対応しなくてよいということではありません。
高年齢労働者が安全かつ安心して働ける職場環境を実現するための改正ですので、「安全配慮義務」の観点からも重要な事項であると言えます。
本改正に対応するためには、「ハード面(作業環境)の対策」「ソフト面(作業方法・配置)の対策」「健康管理の対策」「教育の対策」の4つの視点を押さえて労災防止対策を講じることが求められます。
また、対応したことの記録は「やりました」では足りず、「どの職場で/どんなリスクに/どんな措置を/いつまでに」等のエビデンスを残すことで、万が一の労災リスクに備えることができるでしょう。

≫ 人事労務News&Topics:『2026年4月から高年齢労働者の労災防止対策が努力義務化されます
 

(3)障害者雇用率の引上げ(2026年7月1日施行)

民間企業の障害者の法定雇用率が、「2.5%」から「2.7%」へ改定されます。

【主なポイント】

1.障害者雇用率
「2.5%」から「2.7%」へ改定

2.対象事業主の範囲
障害者を1人以上雇用する義務の対象が、常時雇用する労働者数が40人以上の事業主から「37.5人以上」の事業主へ拡大

●実務上の注意点

2026年7月より、常時雇用する労働者数が37.5人以上の事業主は、次の対応が求められます。

①毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告すること

②障害者雇用の促進と継続を図るために「障害者雇用推進者」を選任するよう努めること

③障害者を解雇する場合、ハローワークに解雇届を届け出ること(雇用人数に関係なく全事業者)

37.5人以上の企業はもちろんですが、人員計画などにおいて37.5人を見据えている企業は、「知らないうちに対象規模に到達していた」ということがないように、障害者雇用に関する体制整備や採用準備を進めていきましょう。
また、障害者雇用は、単なる法定雇用率対応ではなく、採用計画・業務切り出し・定着支援を含めた中長期の人員戦略として捉えることが重要です。
 

(4)カスタマーハラスメント・就活ハラスメント防止対策の義務化(2026年10月施行予定)

労働施策総合推進法の改正により、カスタマーハラスメント防止措置の義務化、男女雇用機会均等法の改正により、求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止措置の義務化がなされます。
この改正は、公布日(2025年6月11日)から1年6か月以内に施行されることとなっており、現在のところ2026年10月に防止対策を義務づける方針としています。

【主なポイント】
事業主が講ずべき具体的な措置の内容等は、今後、指針において示される予定ですが、「カスタマーハラスメント対策の義務化」「求職者等に対するセクハラ対策の義務化」ともに、以下を検討することが求められるでしょう。
1.事業主の方針等の明確化とその周知・啓発 2.相談体制の整備・周知 3.発生後の迅速かつ適切な対応

●実務上の注意点

具体的な措置などは示されていないにせよ、実務においては、ハラスメントに関する相談窓口、発生した場合の初動フロー、ハラスメント委員会など解決するための体制整備、従業員への教育などがますます重要になります。
現在施行されている、「ハラスメント防止措置義務」に関する社内体制も踏まえて、カタチだけの体制になっていないか等、体制を見直す機会ではないでしょうか。


最後に、最近動画やSNS等で「2026年に労働基準法が大改正される」という表現を目にする機会が増えています。
労働基準法については議論が進められていますが、法案提出は見送られており、現時点では確定情報ではありません。今後の正式な発表を注視し、適切なタイミングで対応していきましょう。続報があれば、またこちらで詳しく解説いたします。
執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/ISO30414リードコンサルタント/学校法人産業能率大学 非常勤講師/健康経営エキスパートアドバイザー

SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て開所。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
志-こころ- 特定社労士事務所

連載「人事労務News&Topics」

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