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専門家コラム Professional Eye

2020年10月13日更新

サポートクラブ 労務News&Topics

2021年4月から70歳までの就業機会確保が努力義務になります

[矢島志織(特定社会保険労務士)]

労務に関する法改正情報などの最新ニュースや、注目の話題をピックアップ。専門家がわかりやすく解説します。

高年齢者雇用安定法の改正により、2021年4月1日より70歳までの高年齢者就業確保措置が努力義務になります。今回は、現行法のポイントと、今改正の内容について解説していきます。

(1)現行法「65歳までの高年齢者雇用確保措置」

高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するために、次の①~③のいずれかを導入することが義務付けられています。
①定年引上げ
②継続雇用制度の導入(子会社・関連会社での継続雇用を含む)
③定年の定めの廃止
②継続雇用制度とは、既に雇用している高年齢者について、本人の希望があれば定年後も引き続き雇用する「再雇用制度」や「勤務延長制度」のことをいいます。原則、希望者全員を対象とすることが必要ですが、2013年3月31までに継続雇用制度の対象者の選定基準を労使協定で設けている事業主に限り、経過措置として、下記の対象者については、その選定基準を適用することが認められています。
経過措置の適用期間 対象者
2019年4月1日~2022年3月31日 63歳以上の者
2022年4月1日~2025年3月31日 64歳以上の者
2025月4月1日~ 経過措置なし
2013年3月31日までに締結された労使協定で選定基準を設けていない場合は、経過措置の適用はできません。実務上、間違えて運用されていることがよくありますので、締結日を含め、協定書を再度確認してみましょう。
なお、2025年4月1日以降は、経過措置が終了するため、すべての事業主について65歳までの安定した雇用確保が義務付けられます。

(2)改正法「70歳までの高年齢者就業確保措置」

2021年4月1日より、65歳から70歳までの就業機会を確保するために、次の①~⑤のいずれかの措置が努力義務となります。

①定年廃止

②70歳までの定年延長

③70歳までの継続雇用制度導入
(現行65歳までの制度と同様、子会社・関連会社での継続雇用や他の企業(子会社・関連会社以外の企業)への継続雇用含む)

④高年齢者が希望する場合、70歳まで業務委託契約を締結する制度導入

⑤高年齢者が希望する場合、70歳まで
a.事業主自ら実施する社会貢献事業
b.事業主が痛く、出資(資金提供)等する団体が行なう社会貢献事業
に従事できる制度の導入

④、⑤の措置を導入する場合、過半数組合・過半数代表者の同意を得ることが必要です。
改正により、65~70歳までの就業機会として、雇用以外の措置も含め、多様な選択肢が用意されることになりました。

今回の改正では、70歳までの就業確保措置は努力義務とされていますが、いずれ年金受給開始年齢の引き上げとともに、義務化されることも予想されます。
また、中小企業では2021年4月1日より同一労働同一賃金の導入が求められることになります。今のうちに、高年齢退職者にどのような業務に従事してもらうのか、責任の程度はどの程度か、それに伴う待遇の基準をどうするか等、再度見直しておくと良いでしょう。企業の中でできること、できないことを明確にすることも大切です。70歳まで働き続けられる環境整備を今から一つずつ進めていきましょう。

連載「サポートクラブ 労務News&Topics」

執筆者プロフィール
矢島志織氏(特定社会保険労務士)
志‐こころ‐特定社労士事務所代表/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事。その後、中小企業や上場企業の人事部にて人事労務全般に携わり、社労士合格後、勤務社労士を経て現在に至る。経営者の「志」を形に、そして多様な人財を企業の力に変えていくために組織コンサルティングを行なう一方、人事労務セミナーや企業研修講師としても活動中。