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一般事業主行動計画の策定義務等の対象拡大(2022年4月施行)

2020年11月27日更新

人事労務News&Topics

一般事業主行動計画の策定義務等の対象拡大(2022年4月施行)

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
女性活躍推進法の改正により、2022年4月1日より一般事業主行動計画の策定義務等の対象が拡大されます。今回は、改正内容と、事業主が行なうべき取組みについて解説していきます。

(1)一般事業主行動計画の策定義務等の対象拡大

現在、常時雇用する労働者が301人以上の事業主は、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画(以下、「行動計画」)の策定・届出や自社の女性活躍に関する情報公表が義務付けられています。
今回の改正により、2022年4月1日以降、その対象が、101人以上の事業主に拡大されることになりました。
  現行制度 2022年4月1日以降
常時雇用する労働者*
101人以上300人以下
努力義務 義務

*常時雇用する労働者数とは、正社員だけでなく契約社員、無期契約社員、アルバイト等の名称に関わらず、期間の定めなく雇用されている者または、1年以上雇用されている者等が含まれます。

(2)事業主が行なうべき取組み

行動計画の策定義務等の対象となる事業主には、以下の①~④の取組みが求められます。

①自社の女性の活躍に関する状況を把握し、課題を分析すること

②状況把握、課題分析を踏まえた行動計画を策定、社内周知、公表すること

③行動計画を策定した旨を都道府県労働局に届け出ること

④女性の活躍に関する情報を公表すること*

*情報公表の内容は、おおむね年1回以上更新する必要があります。

常時雇用する労働者が101人以上300人未満事業主は、2022年の義務化に向け、現段階から準備しておくとよいでしょう。

(3)具体的な取組みの流れ

行動計画の策定等の取組みの具体的な流れは次の通りです。
ステップ1自社の女性の活躍に関する状況の把握、課題分析
◎状況把握
自社の女性の活躍に関する状況を把握します。まずは下記基礎項目(必ず把握すべき項目)について確認しましょう。

①採用した労働者に占める⼥性労働者の割合

②男⼥の平均継続勤務年数の差異

③労働者の各⽉ごとの平均残業時間数等の労働時間(健康管理時間)の状況

④管理職に占める⼥性労働者の割合

◎課題分析
把握した状況から自社の課題を分析します。
ステップ2行動計画の策定、社内周知、公表
◎行動計画の策定
ステップ1の状況把握、課題分析を踏まえて目標を設定します。具体的な取組み内容を決定し、行動計画の形に取りまとめていきましょう。


◎行動計画の社内周知、公表
行動計画を全ての労働者に周知し、外部に公表します。
外部への公表は、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」を活用しましょう。学生や求職中の方に向けて、女性活躍状況に関するデータが公開されており、会社のアピールにもつながります。
ステップ3行動計画を策定した旨の届出
行動計画を策定したら、「一般事業主⾏動計画策定・変更届(参考様式) 」により、管轄の都道府県労働局へ届け出ます。
ステップ4取組みの実施、効果の測定
定期的に、数値目標や達成状況、行動計画に基づく取組みの実施状況を点検・評価しましょう。


1~4のステップを繰り返しながら、その結果をその後の取組みや計画に反映させ、PDCAサイクル(計画(Plan)、実⾏(Do)、評価(Check)、改善(Action)のサイクル)を確⽴させることが重要です。

(4)プラチナえるぼし認定制度の創設

女性の活躍推進に関する状況等が優良な事業主を認定する「えるぼし認定」という制度があります。2020年6月1日より、更に水準の高い「プラチナえるぼし」認定が創設されました。
プラチナえるぼし認定は、えるぼし認定を受けた事業主のうち、女性の活躍推進に関する状況が特に優良である等の一定要件を満たした場合に認定されます。 女性活躍推進法に基づいた取組みを通し、女性の個性や能力が十分に発揮できる職場環境を整備していくことで、企業全体として従業員の定着、モチベーションアップ等、多岐にわたる効果が期待できます。さらに、「女性の活躍推進企業データベース」等も活用しながら、女性活躍を促進している企業ということをアピールし、戦略的に取り組んでいきましょう。
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連載「人事労務News&Topics」

執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て独立。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。また現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
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