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専門家コラム Professional Eye

2020年12月7日更新

サポートクラブ 税務News&Topics

年末調整における扶養親族の取扱い

[田中康雄氏(税理士)]

税務に関する法改正情報などの最新ニュースや、注目の話題をピックアップ。専門家がわかりやすく解説します。

年末調整を進めるなかで、「扶養親族」の取扱いは、従業員にとって年間の最終的な税額計算に影響するため、質問等も多くなる部分といえるでしょう。
本コラムでは、従業員本人の「扶養親族」に対する所得控除について、その範囲を確認するとともに、扶養親族の判定において迷うことが多い事例についてみていきます。

扶養親族の範囲

扶養親族とは、その従業員と生計を一にする親族で、合計所得金額が48万円以下の人をいいます。
「親族」には6親等内の血族と3親等内の姻族が該当し、「生計を一にする」とは同居だけに限らず、単身赴任の場合のほか、修学、療養等のため別居していても仕送りが行なわれているような場合などが含まれます。
合計所得金額が48万円以下かどうかの具体的な線引きは、その親族の収入が給与だけの場合には103万円以下、公的年金等だけの場合には158万円以下(65歳未満の人は108万円以下)となります。

(1)扶養控除

「扶養親族」に該当するかどうかについては年齢による判定はありませんが、扶養親族として所得控除の適用を受けられるかどうかの判定においては、一定の年齢等による制限があります。
それぞれの扶養親族に対し、所得控除として扶養控除を受けることができる扶養親族の範囲と所得控除額は、以下のとおりとなります。
区分 所得控除額
①扶養親族のうち、年齢が16歳以上の人 1人につき、38万円
② ①のうち、年齢が19歳以上23歳未満の人 1人につき、38万円+25万円
③ ①のうち、年齢が70歳以上の人 1人につき、38万円+10万円

④ ③のうち、従業員またはその配偶者と同居しているこれらの父母等の直系尊属

1人につき、38万円+20万円

(2)その他の扶養控除等の所得控除

上記(1)とは異なり、従業員の「扶養親族」が次の者に該当する場合には、その扶養親族の年齢にかかわらず、それぞれに掲げる金額につき、所得控除を受けることができます。
区分 所得控除額
①一般の障害者 1人につき、27万円
②同居する特別障害者 1人につき、75万円
③同居していない特別障害者 1人につき、40万円

判断に迷いやすい事例

ここでは、いくつかの事例により、扶養親族の判定と扶養控除の適用の可否について確認します。

事例1)親族が遺族年金を受給している場合

遺族厚生年金や遺族基礎年金、障害年金は、所得税法上は非課税所得に該当します。
たとえば、同居している母親の収入が、パート収入60万円と遺族年金80万円であった場合には、パート収入だけで合計所得金額を判定することになります。
このケースの場合、母親の給与所得が103万円以下であるため、その母親を扶養親族として扶養控除の適用を受けることができます。

事例2)親族が年の中途で亡くなった場合

その親族が扶養親族に該当するかどうかは、その年の12月31日の現況により判定することになります。また、その親族が年の中途で死亡した場合には、その死亡の日の現況により扶養親族に該当するかどうかを判定します。
たとえば、従業員と同居していた父親が年の中途に亡くなった場合で、当初その父親がその従業員の扶養親族ではなかった場合(年初において年間の合計所得金額が48万円を超える予定であった場合)であっても、その死亡の日の現況により、その父親の死亡の日までの合計所得金額が48万円以下であったときは、その年に限り、その父親をその従業員の扶養親族として扶養控除の適用を受けることができます。

事例3)控除対象配偶者となった者を扶養親族にもできる場合

原則として、ある一人を対象に複数の納税者が重複して配偶者控除や扶養控除を受けることはできません。
しかし、たとえば、その従業員の父親が年の中途において死亡した場合で、その父親の死亡時の年末調整において母親を配偶者控除の対象としていた場合であっても、その後、その従業員がその母親と同居し、扶養親族の要件に該当することとなったようなときは、その母親をその従業員の扶養親族にすることもできます。
つまり、その年において、その母親は死亡した父親の配偶者控除の対象になるとともに、その従業員の扶養親族として扶養控除の対象とすることもできます。
執筆者プロフィール
田中康雄氏(税理士)
税理士法人メディア・エス、社員税理士。慶應義塾大学商学部卒業。法人税、消費税を専門とし、上場企業から中小企業まで税務業務を担当。資産税関連も含め税務専門誌に多数執筆。主要著書『ケース別「事業承継」関連書式集』(共著、日本実業出版社)、『設備投資優遇税制の上手な使い方』(税務経理協会)。