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「雇用シェア」の活用に関わる新たな助成金の創設

2021年2月10日更新

人事労務News&Topics

「雇用シェア」の活用に関わる新たな助成金の創設

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
2021年1月28日、第3次補正予算が成立し、「雇用シェア(在籍型出向)」により労働者の雇用を維持する事業主を支援する「産業雇用安定助成金」が創設されました。本コラムでは、助成金の概要と「雇用シェア」のしくみについて解説していきます。

(1)「産業雇用安定助成金」の概要

新型コロナウィルス感染症の影響により、事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、「雇用シェア(在籍型出向)」によって労働者の雇用を維持する場合に、出向元と出向先双方の事業主に対して、出向に係る経費の一部が助成されます。出向期間終了後は、出向元の事業所に戻って働くことが前提とされています。

(2)助成内容

◎出向運営経費についての助成
出向元事業主及び出向先事業主が負担する賃金、教育訓練、労務管理に関する調整経費等、出向中に要する費用の一部が助成されます。
  中小企業 中小企業以外
出向元が労働者の解雇などを行っていない場合 9/10 3/4
出向元が労働者の解雇などを行っている場合 4/5 2/3
上限額 12,000円/日
◎出向初期経費についての助成
就業規則や出向契約書の整備費用、出向元が事前に行なう教育訓練、出向先が出向者を受け入れるために用意する機器や備品等、出向に要する初期経費の一部が助成されます。
  出向元 出向先
助成額 各10万円/1人当たり(定額)
加算額(※) 各5万円/1人当たり(定額)

※出向元事業主が雇用過剰業種の企業や生産量要件が一定程度悪化した企業である場合や、出向先事業主が労働者を異業種から受け入れる場合に、助成額の加算が行なわれます。

なお、助成対象となる経費は、令和3年1月1日以降の出向に係る経費とされています。
出向開始日が令和3年1月1日より前の場合、1月1日以降の出向運営経費のみが助成対象となり、出向初期経費は助成対象とはなりません。

(3)「雇用シェア(在籍型出向)」のしくみ

「雇用シェア(在籍型出向)」とは、労働者が出向元事業主と出向先事業主の双方と労働契約を結び、出向元事業主と出向先事業主との間では、出向契約が結ばれる労働形態をいいます。
同じような労働形態で「労働者派遣」がありますが、労働者が派遣元のみと労働契約を結び、派遣先と労働者の関係は指揮命令関係になるという点が在籍型出向とは異なります。


雇用シェア(在籍型出向)



○労働者派遣


在籍型出向にあたるか、労働者派遣にあたるかは名称ではなく、実態により判断されますので、留意が必要です。

また、在籍型出向を行なうには、出向先での労働条件や出向期間、復帰の仕方など出向に関するルールについて就業規則等によって整備されていることが必要です。出向命令の必要性や労働条件等について労働者と十分に話し合ったうえで実施しましょう。

現在、(公財)産業雇用安定センターでは、「雇用を守る出向支援プログラム2020」として、出向のマッチング支援を行なっています。出向元・出向先どちらも無料で利用できますので、まだ在籍型出向を行なったことがないという企業も検討してみてはいかがでしょうか。
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連載「人事労務News&Topics」

執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て独立。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。また現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
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