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専門家コラム Professional Eye

2021年2月5日更新

サポートクラブ 税務News&Topics

非課税とされる在宅勤務手当の範囲

[田中康雄氏(税理士)]

税務に関する法改正情報などの最新ニュースや、注目の話題をピックアップ。専門家がわかりやすく解説します。

新型コロナウイルス感染症拡大の収束が見通せないなか、国は出勤者の7割削減を目指し、テレワークが推進されています。
また、新しい働き方の一つでもある在宅勤務に対しては、従業員が負担する自宅の光熱費等を補助するため「在宅勤務手当」等の名目で手当を支給しているケースも多く見受けられます。これらは、実費相当分を正確には算出することができないため、会社としては給与として取り扱わざるを得ないでしょう。
そんななか、令和3年1月、国税庁より従業員に対して支給される在宅勤務に係る手当について新たな指針が示されました。「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」(以下、「FAQ」といいます)です。

●在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)(国税庁)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf

本コラムでは、このFAQの内容について確認することにします。

事務用品等の支給に係る取扱い

テレワーク用に会社のパソコンなど事務用品等を従業員に貸与するような場合、これだけで従業員に対し経済的利益が生じるわけではなく、給与課税されることはありません。
ただ、その所有権が明らかに従業員に移転してしまうような場合には、その時点で現物給与として給与課税されることになります。

在宅勤務に係る「通信費」の取扱い

在宅勤務する従業員が自宅で使用する電話料金や、インターネット接続に係る通信料などには、その従業員の家事使用の部分が含まれており、すべてが業務のために使用されているとはいえません。
ただ、通話料に関していえば、通話明細書等を取り寄せることで業務に係る部分を特定することができるため、容易に実費精算することができるでしょう。
しかし、電話の基本使用料や、インターネットに係る基本料金あるいはデータ通信料などは、業務として使用した部分だけを限定的に抽出することはできません。また、通話料についても、電話でのやりとりが多くなるような業務では、上述のような通話明細書等による実費精算は極めて煩雑といえます。
そこで、FAQでは、これらの通信費のうち、以下の<算式>により算出したものを業務のために使用した部分とし、これを合理的に計算したものとして従業員に支給する場合には、その部分は給与課税の対象にはならないことが示されました。


<算式>
業務のために使用した
基本使用料や
通信料等
従業員が負担した
1か月の基本使用料
や通信料等
×
その従業員の1か月の在宅勤務日数
該当月の日数
×
1
2
 
なお、この算式によらず、より精緻な方法で算定し、これを従業員に支給した場合にも、同様に給与として課税する必要はありません(次項、電気料金においても同じ)。

※従業員本人が所有するスマートフォン本体の購入代金や、業務範囲外のオプション代等(本体の補償料や音楽・動画等のサブスクリプションの利用料等)を会社が負担した場合には、その負担部分は給与課税されます。

在宅勤務に係る「電気料金」の取扱い

通信費と同様、在宅勤務する従業員が負担した自宅に係る電気代の基本料金や電気使用料についても、業務のために使用した部分を実費精算することは困難です。
そこで、FAQでは、これらの料金のうち、以下の<算式>により算出したものを業務のために使用した部分とし、これを合理的に計算したものとして従業員に支給する場合には、その部分は給与課税の対象にはならないことが示されました。


<算式>
業務のために
使用した基本料金
や電気使用料
従業員が負担した
1か月の基本料金
や電気使用料
×
業務のために
使用した部屋の床面積
自宅の床面積
×
その従業員の
1か月の在宅勤務日数
該当月の日数
×
1
2
 

「レンタルオフィス等」におけるテレワーク費用の取扱い

従業員が、勤務時間内にレンタルオフィス等を利用してテレワーク等を行なうことがあります。
これを業務のために利用したものとして領収書等を会社に提出し、実費精算した場合には、その精算された部分は、給与として課税されることはありません。

精算方法と給与から除外される部分

費用の実費相当額や業務のために使用した部分として合理的に計算された部分(業務のために使用した部分)を会社に報告して精算する場合、一般的には次のような方法によることになるでしょう。

(1)会社が従業員に事前に仮払いをし、仮払いされた金額が業務のために使用した部分を超過する場合、その超過部分を会社に返還する方法

(2)業務のために使用した部分の金額を会社に報告し、その後その相当分を会社から受領する方法

いずれの精算方法でも、業務のために使用した部分については、給与として課税されることはありません。
ただ、(1)のケースで、超過した部分を従業員が会社に返還しなかった場合の取扱いについて疑義が生じることになります。
この点、業務のために使用した部分が適正に計算されているのであれば、会社が仮払いした金額のすべてが給与として課税されるわけではなく、超過部分のみを給与として課税すればよいということもFAQで示されています。
執筆者プロフィール
田中康雄氏(税理士)
税理士法人メディア・エス、社員税理士。慶應義塾大学商学部卒業。法人税、消費税を専門とし、上場企業から中小企業まで税務業務を担当。資産税関連も含め税務専門誌に多数執筆。主要著書『ケース別「事業承継」関連書式集』(共著、日本実業出版社)、『設備投資優遇税制の上手な使い方』(税務経理協会)。