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専門家コラム Professional Eye

2021年3月5日更新

サポートクラブ 税務News&Topics

源泉所得税を納め過ぎた場合の手続き

[田中康雄氏(税理士)]

税務に関する法改正情報などの最新ニュースや、注目の話題をピックアップ。専門家がわかりやすく解説します。

給与や報酬、配当などを支払う際、会社側ではこれらに係る所得税と復興特別所得税(源泉所得税)を徴収する義務があり、源泉徴収した税額は、その支払いをした月の翌月10日までに納付することが原則です。しかし、税額計算の誤りなどによって、本来納付すべき税額よりも多く納付してしまうケースもあるかもしれません。
そこで、本コラムでは、源泉所得税を納め過ぎた場合の手続きについて確認します。

過誤納金の還付請求

源泉所得税を納付するとき、本来納付すべきであった正当税額を超えて納付してしまった場合には、その納め過ぎた源泉徴収税額(過誤納金)については、その納税地の所轄税務署長に「源泉所得税及び復興特別所得税の誤納額還付請求書」(還付請求書)を提出することで、過誤納金の還付を受けることができます。
なお、納付した日から5年間の間に還付請求書を提出しない場合には、時効により請求権が消滅することになるため注意が必要です。

過誤納金の届出による充当

過誤納金が給与や賞与(給与等)に係るものである場合には、前項の還付請求書に代えて「源泉所得税及び復興特別所得税の誤納額充当届出書」を提出することで、その過誤納金に相当する金額を、その後納付する給与等に係る源泉所得税に充当し、控除することができます。
なお、充当がおおむね3か月以上の長期間にわたる場合には、充当の手続きによることができず、前項の還付請求の方法によることになります。
また、給与等以外の源泉所得税について過誤納金が生じた場合にも、当該充当の手続きによることができず、前項の還付請求の方法によることになります。
たとえば、「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」によって給与等の源泉所得税の納付と同時に納付する、いわゆる2号報酬に係る源泉所得税について過誤納金が生じた場合であっても、手続き上はこれを給与等に係る源泉所得税に充当することはできないことになります。

添付書類

源泉所得税の過誤納金につき、還付請求または充当の届出を行なう場合には、以下の書類を添付する必要があります。

(1)還付または充当しようとする税額を納付した際の所得税徴収高計算書(納付書)の写し 1部

(2)「預り金」の総勘定元帳など、誤納額が生じた事実を記載した帳簿書類の写し 1部

異なる納付書で納付した場合

源泉所得税の納付のための所得税徴収高計算書(納付書)にはいくつかの種類があります。そのため、たとえば、配当の支払いに対する源泉徴収税額を給与等の納付書で納付してしまうなど、誤って異なる納付書で納付してしまうことも実務のなかではあるかもしれません。このとき、給与等の源泉所得税の納付については過誤納金が生じ、配当等の源泉所得税の納付では不納付の状態となっています。
このような場合であっても、その月の納付すべき源泉所得税の税額としては異動がないため、不納付加算税などのペナルティが課されることはないかもしれませんが、少なくとも正確な情報を税務署に伝え直す必要はあるでしょう。実務上、法定納期限から1か月以内であれば、一定の場合、不納付加算税が課されることはありません。
そのため、源泉所得税の納税手続きにおいて何らかのトラブルが生じてしまった場合には、ペナルティが課されることのない期間内に税務署に問い合わせをして解決しておくべきといえるでしょう。
執筆者プロフィール
田中康雄氏(税理士)
税理士法人メディア・エス、社員税理士。慶應義塾大学商学部卒業。法人税、消費税を専門とし、上場企業から中小企業まで税務業務を担当。資産税関連も含め税務専門誌に多数執筆。主要著書『ケース別「事業承継」関連書式集』(共著、日本実業出版社)、『設備投資優遇税制の上手な使い方』(税務経理協会)。