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専門家コラム Professional Eye

2021年2月22日更新

サポートクラブ 税務News&Topics

確定申告が必要な給与所得者

[田中康雄氏(税理士)]

税務に関する法改正情報などの最新ニュースや、注目の話題をピックアップ。専門家がわかりやすく解説します。

以前のコラムでは、給与所得者が確定申告によって還付を受けられるケースについて確認しました。
還付のための申告は、5年間遡ることができます。対象となる年分について、これまで確定申告書を一度も提出したことがない場合には、期限後申告として取り扱われ還付請求ができます。たとえ申告が期限後になっても、これを理由に税務調査の対象となることはありません。住民税の計算にも影響するため、確定申告をすることで還付となる年分がある場合には、申告書の提出を検討してみるとよいかもしれません。
また、これとは逆に、確定申告をすることで新たに納税が生じるケースもあります。このような場合には、年末調整が完了している給与所得者であっても、原則として確定申告が必要となります。
そこで、今回のコラムでは、給与所得者でも確定申告が必要となるケースについて確認することにします。

給与以外の所得がある場合の確定申告の例外

給与所得者で、給与所得と退職所得(以下、これらを合わせて「給与所得」とします)以外の所得が生じている場合、原則として確定申告が必要となります。
ただし、給与所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下の場合には、確定申告を不要とすることもできます。

2か所以上から給与を受給している場合

給与所得者が「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している会社以外から給与(従たる給与)を受給している場合、その従たる給与の金額と給与所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える場合には、確定申告の必要があります。
たとえば、その年の所得が2か所からの給与の場合、従たる給与の金額が20万円以下の場合には、確定申告の必要がありません。しかし、確定申告が不要となるのは、従たる給与が給与所得の源泉徴収税額表の乙欄により源泉徴収されている場合に限ります。また、従たる給与が20万円以下かどうかは、所得ではなく収入金額で判定します。

年金を受給している場合

定年後の再雇用制度などにより、たとえば嘱託の従業員などは、給与のほかに年金を受給しているケースが多いといえるでしょう。
所得が公的年金等のみの場合、その収入金額が400万円以下であれば確定申告は不要です。しかし、公的年金等以外に給与所得など20万円を超える所得がある場合には、確定申告が必要となります。給与と公的年金等の両方を受給している場合、給与の収入金額が85万円を超えると、給与所得の金額は20万円を超えることになります。
また、これとは逆に、給与所得者のうち公的年金等の所得金額が20万円を超える場合にも確定申告が必要となります。20万円を超えるかどうかは、あくまでも所得金額で判定するため、公的年金等を収入金額で判定するならば、65歳未満の従業員の場合は80万円、65歳以上の従業員の場合は130万円を超えると、確定申告が必要になります。

副収入がある場合

近年、副業を認める会社も増えてきていますが、副業とまではいかなくても、たとえばネットオークションなどへの出品により副収入が生じることもあるでしょう。
通常、衣服や雑貨、家電などの資産の売却による収入は「雑所得」として確定申告の対象となりますが、これと他の給与所得以外の所得金額の合計額が20万円以下の場合には、確定申告は不要です。また、古着や家財などの生活用品の売却による所得は非課税とされているため確定申告は不要ですが、一方で収入から必要経費を差し引いた金額がマイナス(損失)になってもこれを申告することはできません。
そのほか、空き部屋などを旅行者等に有料で宿泊させる「民泊」についても、その収入は観光サービスを提供するものとして雑所得に該当するため、その所得と給与所得以外の所得金額の合計額が20万円を超えれば、同様に確定申告が必要となります。
コロナ禍の状況を勘案し、令和2年分の確定申告書の提出期限が、令和3年(2021年)4月15日まで1か月延長されましたが、給与所得者であっても確定申告が必要なケースに該当する場合には、延滞税等のペナルティを避けるためにも期限内での申告・納付を心がけましょう。
また、給与所得以外の所得の金額が20万円以下となり、所得税の確定申告が不要となる場合であっても、住民税においては原則として申告を要します。給与以外に所得が生じる場合には注意が必要です。
執筆者プロフィール
田中康雄氏(税理士)
税理士法人メディア・エス、社員税理士。慶應義塾大学商学部卒業。法人税、消費税を専門とし、上場企業から中小企業まで税務業務を担当。資産税関連も含め税務専門誌に多数執筆。主要著書『ケース別「事業承継」関連書式集』(共著、日本実業出版社)、『設備投資優遇税制の上手な使い方』(税務経理協会)。