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テレワークにおける従業員の安全衛生確保について

2021年4月26日更新

人事労務News&Topics

テレワークにおける従業員の安全衛生確保について

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
昨年、初の緊急事態宣言が出されてから約1年が経ち、テレワークという働き方が浸透してきた企業も多いことと思います。一方、最近では、目や肩、腰の疲れや精神的なストレスなど、テレワークによる従業員の心身への影響についてのご相談も多くなっています。本コラムでは、テレワークにおいて、従業員の安全衛生を確保するためのポイントを解説していきます。

(1)テレワークにおける作業環境の整備

テレワークを行なう作業場については、「事務所衛生基準規則」や「情報機器作業における労働衛生のためのガイドライン」の衛生基準と同等の作業環境となるように、テレワークを行なう従業員に助言等を行なうことが望ましいとされています。これらの衛生基準を踏まえて、テレワークにおける作業環境整備のポイントをまとめると、以下のようになります。
部屋の空間

□設備の占める容積を除き、10㎥以上であること

室温・湿度

□気流は、0.5m/s以下で、直接、継続してあたらず、室温17℃~28℃、相対湿度40~70%となるように努めること

□換気が十分に行なわれる窓や換気設備を設け、ディスプレイに太陽光が入射する場合は、窓にブラインドやカーテンを設けること

部屋の明るさ

□机上の照度は、300ルクス以上とすること

PC

□ディスプレイは、照度500ルクス以下で、輝度やコントラストが調整できること

□操作しやすいキーボードやマウスを使うこと

□必要なものが配置できる広さがあること

□作業中に脚が窮屈でない空間があること

□体型に合った高さである、または高さの調整ができること

椅子

□安定していて、簡単に移動できること

□座面の高さを調整できること

□適当な背もたれがあること

□肘掛けがあること

その他

□ディスプレイとおおむね40㎝以上の視距離を確保すること

□情報機器作業が過度に長時間にならないようにすること

作業環境の整備を促進するために、会社から机や椅子等のテレワーク用の備品の貸与を行なうのもよいでしょう。また、作業環境が整備されていない場合、テレワークを許可しないなど、テレワーク規程等によりルールを設けるのもひとつです。

会社が従業員の作業環境を把握するのは難しいかもしれません。厚生労働省では、労働者本人が自宅の作業環境の状況を確認するためのチェックリストを公開していますので、こういったツールも活用して、従業員と話し合いながら作業環境を整備していくことが大切です。

(2)テレワークを行う際のメンタルヘルス対策

テレワークの増加により、メンタルへルス不調に関する相談も増えています。プライベートと仕事の区別がつかない、労働時間がオフィスでの勤務時よりも増えている、周囲とのコミュニケーションが取りにくい、上司等が従業員の心身の変調に気づきにくい等、様々な要因が考えられます。円滑にテレワークを行なうためにも、健康相談体制の整備や、コミュニケーションの活性化のための措置を検討しましょう。
WEB会議等も活用して、「今日はどんな1日だったか」「どんなこと(仕事)が達成できたか」といった1日の振り返りを、顔を見ながら傾聴するなど、日々の業務の中で従業員が相談しやすいしくみを作っていくことが重要です。

先が見通せないコロナ禍で、様々な工夫をされている企業も多いかと思います。従業員の安全衛生を確保し、何か問題が生じれば、早期発見、早期改善ができるような、持続可能なテレワーク体制を作っていきましょう。
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2024年5月8日(水)~5/10(金) 東京ビッグサイト

連載「人事労務News&Topics」

執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て独立。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。また現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
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