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夫婦共働きの場合の社会保険の被扶養者認定基準が明確になります(2021年8月1日より適用)

2021年6月25日更新

人事労務News&Topics

夫婦共働きの場合の社会保険の被扶養者認定基準が明確になります(2021年8月1日より適用)

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
夫婦共働きの場合、子どもを夫婦どちらの扶養家族にするか迷うことがあるかもしれません。今回、厚生労働省から「夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について」の通知が公表され、夫婦共働きで、ともに社会保険に加入している場合に、子どもをどちらの扶養に加入させるか、その判断基準が明確化されました。本コラムではこの新たな基準の内容について解説していきます。

(1)夫婦ともに被用者保険に加入している場合

夫婦共働きで、ともに協会けんぽ(全国健康保険協会)や健康保険組合等の被用者保険に加入している世帯は多いでしょう。
今回、このような場合の子どもの被扶養者認定基準について、以下のような変更がなされました。
現行 2021年8月1日~

①前年分の年間収入が多い方の被扶養者とする

①年間収入(過去、現時点、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだもの)が多いほうの被扶養者とする

②夫婦双方の年間収入が同程度である場合、主として生計を維持する者の被扶養者とする

②夫婦双方の年間収入の差額が年間収入の多い方の1割以内である場合、主として生計を維持する者の被扶養者とする

(2)夫婦の一方が国民健康保険に加入している場合

夫婦どちらかが、国民健康保険に加入している場合、以下の年間収入を比較し、いずれか多い方を、主として生計を維持している者と認定します。
国民健康保険の被保険者 直近の年間所得で見込んだ年間収入
被用者保険の被保険者 過去、現時点、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだもの

(3)主として生計を維持する者が育児休業を取得した場合

それでは、被保険者である主として生計を維持する者が、育児休業を取得した場合はどうなるのでしょうか。この場合は、育児休業により収入が減ったとしても、特例的に被扶養者を異動しないこととなります。
ただし、新たに誕生した子どもについては、(1)または(2)の認定手続きを改めて行なうことが必要になります。そのため、第一子は母親、第二子は父親の扶養になるというケースもあるかもしれません。

(4)実務でのポイント

子どもの扶養加入手続きを行なう際、夫婦共働きであっても“夫の扶養に入れる”と考えてしまいがちですが、今後は、新たな基準のもと年間収入の多いほうを見極めて判断することになります。
実務担当者としては、手続きに必要な情報を従業員からヒアリングする際に、配偶者の収入を確認することが求められます。ヒアリングシート等の確認項目に、「配偶者の収入額」を追加すると良いでしょう。
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連載「人事労務News&Topics」

執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て独立。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。また現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
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