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専門家コラム Professional Eye

2021年8月25日更新

サポートクラブ 労務News&Topics

地域別最低賃金額の引き上げと自社の最低賃金額の確認方法

[矢島志織(特定社会保険労務士)]

労務に関する法改正情報などの最新ニュースや、注目の話題をピックアップ。専門家がわかりやすく解説します。

厚生労働省より、都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会が答申した令和3年度の地域別最低賃金の改定額が公表されました。本コラムでは、答申の内容と合わせて、自社の最低賃金の確認方法について確認していきます。

○「全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20421.html

(1)答申の内容

令和3年度の改定額の全国加重平均額は930円となりました。昨年の902円より28円の引き上げとなり、昭和53年度に目安制度が始まって以降、最高額の引き上げになります。
47都道府県では、40都道府県で28円、4県で29円、2県で30円、1県で32円となっています。

○令和3年度地域別最低賃金答申状況
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000662334.pdf

本改定は、都道府県労働局での関係労使から異議申出に関する手続きを経た上で、都道府県労働局の決定により10月より順次発効される予定です。

地域別最低賃金は、事業場が属する都道府県の最低賃金が適用されます。事業場が複数ある企業は、本社の地域別最低賃金だけでなく、それぞれの事業場の地域別最低賃金も確認しておく必要があります。

(2)最低賃金額以上になっているかどうかの確認方法

最低賃金は時間単価によって定められています。したがって、月給制の場合、自社の賃金が最低賃金額以上になっているかどうか確認するためには、月給を1カ月の平均所定労働時間で除した金額(=時間単価)と、最低賃金額とを比較する必要があります。
時間単価=

月給

平均所定労働時間
≧最低賃金
「月給」は、毎月支払われる固定的な賃金のことを指し、基本給のみならず、役職手当等の諸手当も含めた賃金です。具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外した賃金が最低賃金の対象となります。


<最低賃金から除外する賃金>

①臨時に支払われる賃金(慶弔手当等)

②1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)

③所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金等)

④所定労働日以外の日の労働に対して支払われている賃金(休日割増賃金等)

⑤午後10時から午前5時までの間に労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金等)

精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

また、似たものとして、割増賃金の算定に用いる「基礎賃金」がありますが、取扱いが異なりますので注意しましょう。


[参考] 割増賃金の基礎賃金から除外する賃金

①家族手当

②通勤手当

別居手当

子女教育手当

住宅手当

⑥臨時に支払われた賃金

⑦1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金

なお、定額残業制度を導入している場合、残業分として支給している手当(例:固定残業手当等)は、「最低賃金の対象となる賃金」と「割増賃金の基礎賃金」のどちらからも除外対象となります。


最後に、「平均所定労働時間」は以下の通り算出します。
平均所定労働時間=

(365*日-1年の休日日数)×1日の所定労働時間

12か月

*うるう年は366

月給制であっても、短時間正社員として労働している場合、平均所定労働時間がフルタイムの正社員とは異なることになります。雇用形態等に合わせて算出が必要になりますので、注意しましょう。

最低賃金の改定に備えて、自社の賃金が最低賃金を下回っていないか、正しい計算方法で確認しておくようにしましょう。

連載「サポートクラブ 労務News&Topics」

執筆者プロフィール
矢島志織氏(特定社会保険労務士)
志‐こころ‐特定社労士事務所代表/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事。その後、中小企業や上場企業の人事部にて人事労務全般に携わり、社労士合格後、勤務社労士を経て現在に至る。経営者の「志」を形に、そして多様な人財を企業の力に変えていくために組織コンサルティングを行なう一方、人事労務セミナーや企業研修講師としても活動中。