2022年3月10日更新
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2022年4月より在職老齢年金制度が見直されます
[矢島志織(特定社会保険労務士)]
2020年6月5日に公布された年金制度改正法により、2022年4月から在職老齢年金制度が見直されます。本コラムでは改正内容について解説していきます。
(1)在職老齢年金制度とは
60歳以上70歳未満で厚生年金保険に加入している方が、年金を受け取りながら働いた場合、給与等の金額が一定額を超えると、年金額の全部または一部が支給停止となります。この仕組みを
在職老齢年金制度といいます。
(2)改正内容
現行の在職老齢年金制度では、「60歳以上65歳未満」と「65歳以上70歳未満」とで年金支給停止の基準が異なります。
今改正では、「60歳以上65歳未満」について、以下の通り基準が見直されることになりました。
現行 |
改正後 |
基本月額(※1)と総報酬月額相当額(※2)の合計額が28万円を超える場合に、年金額の全額または一部について支給停止 |
基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を超える場合に、年金額の全額または一部について支給停止 |
(※1)基本月額…老齢厚生年金の月額
(※2)総報酬月額相当額…(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の賞与の金額)÷12
また、改正後の具体的な支給停止額の計算方法は以下の通りとなります。
支給停止額=(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)×1/2×12
なお、現在「65歳以上70歳未満」については、支給停止基準は「47万円」となっていますので、改正後は「60歳以上65歳未満」と「65歳以上70歳未満」は同じ基準となります。また、計算方法についても同様です。
今回、基準額が大幅に引き上がることで、60歳以上65歳未満の労働者から「もう少し働きたい」という声が上がってくるかもしれません。働く意欲のある労働者にとっては嬉しい改正ですね。