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2022年10月からの育児休業中の社会保険料免除に関する実務ポイント①

2022年5月10日更新

人事労務News&Topics

2022年10月からの育児休業中の社会保険料免除に関する実務ポイント①

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
以前のコラムでは、2022年10月より改正となる育児休業中の社会保険料免除要件の概要について解説しました。
先ごろ、「育児休業等中の保険料の免除要件の見直しに関するQ&A」が公表されましたので、今回と次回の2回に分けて、具体的に実務ポイントを解説していきます。

現行法において、育児休業等中の社会保険料免除の取扱いは、「月末時点で育児休業等を取得している」場合、その月の給与・賞与に係る社会保険料が免除となります。

2022年10月からは、「同一月内に育児休業等の開始日と終了予定日の翌日があり、その月内に14日以上の育児休業等を取得していること」「賞与に係る保険料は、1か月を超える育児休業等を取得していること」が免除の要件に加わります。

(1)出生時育児休業の社会保険料免除の取扱い

2022年10月より出生時育児休業制度が創設されますが、現行の育児休業等と同様に、出生時育児休業にも社会保険料免除の取扱いが適用されます。
給与に係る社会保険料については、月末時点で出生時育児休業を取得している場合(ケース①)、同一月内に出生時育児休業の開始日と終了日があり、14日以上の出生時育児休業を取得している場合(ケース②)に免除となります。

(2)14日以上の育児休業等とは?

改正後の要件となる「14日以上の育児休業等」とは、育児休業等の開始日から終了予定日までの日数が14日以上あることを指します。
実務において、育児休業等の開始日と終了予定日の確認は、育児休業申出書等で行なうとよいでしょう。

また、「14日以上」については、育児休業等の日数を合算することが可能になります。考え方として、同一月内に育児休業等が複数あり、それぞれの休業の開始日と終了予定日の翌日も同一月内にある場合、日数を合算することになります。
したがって、連続の取得である必要はなく、分割で同一月内に取得される育児休業等の合算が可能になります。
たとえば、出生時育児休業を同一月内で2分割して取得する場合、休業の日数が合算して14日以上あれば、その月の社会保険料は免除になります(ケース③)。
では、同一月内に取得した複数の育児休業等に係る育児休業等の合算について、前月以前から取得している育児休業等がある場合は、どのように考えるのでしょう?
日数の合算は、同一月内に育児休業等が複数あり、それぞれの休業の開始日と終了予定日の翌日が同一月内であることが前提となるため、月末を含む育児休業等の日数は、「14日以上の育児休業等」の合算の対象外となります。したがって、前月以前から取得している育児休業等は、合算できないことになります。
たとえば、出生時育児休業の1回目を12月25日から1月10日までの17日間、2回目を1月18日から1月25日までの8日間取得した場合、1回目の休業は月末を含む育児休業等になるため、合算対象の休業期間とはなりません。
したがって、2回目の休業のみで判断することになり、14日未満ですから1月の社会保険料は免除の対象外です(ケース④)。
具体例を見ていくと、実務で求められる運用がとても細かいことがわかりますね
次回も、図解を多く入れながら実務ポイントを解説していきますので、お読みいただければ幸いです。
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連載「人事労務News&Topics」

執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て独立。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。また現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
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