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専門家コラム Professional Eye

2022年5月6日更新

サポートクラブ 税務News&Topics

未払賞与の損金算入時期

[田中康雄氏(税理士)]

税務に関する法改正情報などの最新ニュースや、注目の話題をピックアップ。専門家がわかりやすく解説します。

業績が好調なときなどには、従業員に対して臨時的に決算賞与の支給を検討する会社もあるかもしれません。
しかし、決算間際で賞与の支給を決定した場合、手続きが間に合わず実際の支給が翌年度に持ち越されてしまうこともあります。このようなケースでは、決算整理のなかで「未払賞与」を計上して費用処理したいところでしょう。
本コラムでは、こうした未払賞与を損金算入するための要件を確認します。

賞与に対する損金算入時期の原則

使用人に対して支給した賞与の損金算入の時期は、実際にその支払いが行なわれた日の属する事業年度が原則となります。

未払賞与に対する損金算入時期の例外

事業年度内に未払いとなった賞与についても、本来はその支払いが行なわれた日の属する事業年度(翌事業年度)に損金算入することが原則となります。
しかし、次に掲げる未払賞与のうち、それぞれの要件を満たすものについては、その通知した日((1)の場合には、その支給予定日と比較していずれか遅い日)の属する事業年度での損金算入が例外的に認められています。
(1) 労働協約または就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与

①使用人にその支給額が通知されていること

②その支給予定日またはその通知した日の属する事業年度において、その支給額につき損金経理していること

(2) (1)以外により未払計上した賞与

①その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知していること

②その通知した金額を、通知したすべての使用人に対して、その通知した日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払っていること

③その支給額につき、その通知した日の属する事業年度において損金経理していること

決算賞与を未払計上する場合の留意点

臨時的に使用人に対して支給される決算賞与は、上掲(2)の手続きによる方法が一般的ですが、それぞれの要件をクリアする必要があります。
特に、①と②について、たとえば通知はしたものの翌事業年度の支給日の時点で退職していることを理由に支給しなかった場合には、その未払計上をした決算賞与の額は、その事業年度の損金の額に算入できません。また、給与規程等で、そもそも退職した使用人には支給しないこととしているケースも同様です。
なお、雇用関係が継続的ではなく、賞与の支給対象としていないパートタイマーや臨時的な雇用者等を区分し、これらの者に支給額の通知をしなかったとしても、すべての使用人に通知しなかったものとして取り扱われることはありません。
また、②にあるように、1か月という期間は形式的な要件をクリアしていることが重要になると考えられます。特に、3月末決算法人は、ゴールデンウイークの休日の並びに注意が必要になるでしょう。

従業員に対する賞与の額は、金額的にも課税所得に与える影響が大きくなる傾向にあります。そのため、これを決算整理のなかで未払計上する場合には、恣意的な利益操作ではないかとの疑義が生じやすいといえます。
決算賞与を未払いで処理せざるを得ないような状況となった場合には、手続きやスケジューリングには十分に注意しましょう。
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執筆者プロフィール
田中康雄氏(税理士)
税理士法人メディア・エス、社員税理士。慶應義塾大学商学部卒業。法人税、消費税を専門とし、上場企業から中小企業まで税務業務を担当。資産税関連も含め税務専門誌に多数執筆。主要著書『ケース別「事業承継」関連書式集』(共著、日本実業出版社)、『設備投資優遇税制の上手な使い方[第2版]』(税務経理協会)、『こんなに使える試験研究費の税額控除』(税務経理協会)。
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