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2024年4月より障害者の法定雇用率が段階的に引き上げられます

2023年3月10日更新

人事労務News&Topics

2024年4月より障害者の法定雇用率が段階的に引き上げられます

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則等の改正により、2024年4月から障害者の法定雇用率が段階的に引き上げられます。

(1) 障害者の法定雇用率の段階的な引き上げ

現行、民間企業での障害者の法定雇用率は2.3%とされていますが、2024年4月より2.5%、2026年7月より2.7%へ段階的に引き上げられることが決まりました。
これに伴い、障害者を1人雇用しなければならない事業主の範囲が、2024年4月より「従業員40人以上」、2026年7月より「従業員37.5人以上」へ広がることになります。
  現行 2024年4月~ 2026年7月~
法定雇用率 2.3% 2.5% 2.7%
障害者雇用の対象となる事業主の範囲 従業員43.5人以上 従業員40人以上 従業員37.5人以上
この改正に伴い、2024年4月より従業員40人以上の事業主、2026年7月より従業員37.5人以上の事業主は、次の対応が求められるようになります。

①毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告すること

②障害者雇用の促進と継続を図るために「障害者雇用推進者」を選任するよう努めること

③障害者を解雇する場合、ハローワークに解雇届を届け出ること

●従業員数のカウント

事業所(支店等)が複数ある場合でも、事業主(企業)全体で集計を行ないます。
1年を超えて雇用されているか、または1年を超えて雇用される見込みがある「常用労働者」が対象となり、週の所定労働時間によってカウント方法が異なります。
週所定労働時間 30時間以上 20時間以上30時間未満
従業員数 1 0.5
なお、有期契約社員やパート・アルバイトなどの雇用形態にかかわらず、上記に当てはまる場合にはカウント対象になります。

(2) 雇用する障害者数の算定

現行、障害者の雇用義務が課されているのは、週所定労働時間が20時間以上の労働者となっています。
他方で、障害の特性において長時間の勤務が難しい等により、週所定労働時間20時間未満での雇用を希望する人が一定数存在することから、雇用機会の拡大を図ることを目的として、2024年4月より対象範囲の見直しが行なわれます。

「新たに対象となる障害者の範囲」
2024年4月より短時間労働者(週所定労働時間10時間以上20時間未満)である「精神障害者」「重度身体障害者」「重度知的障害者」については、1人をもって0.5人と算定します。

*条件によっては「1」とカウントする措置が2022年度末までとされていましたが、延長されました。

障害者雇用率制度では、次の障害者を雇用する場合に法定雇用率の算定対象となります。
身体障害者 身体障害者手帳1~6級に該当する人
知的障害者 児童相談所等で知的障害者と判断された人
精神障害者 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人
なお、精神障害者保健福祉手帳には有効期間が設けられているため、実務においては対象者と有効期間を把握することが重要になります。


今回の改正により新たに障害者雇用の対象となる事業主は、早い段階から障害者雇用について検討していくとよいでしょう。障害者雇用を始める事業主に対して、地域障害者職業センター等が無料相談を実施しています。こうした支援機関を上手に活用しながら、自社に合った障害者雇用の形をみつけてはいかがでしょうか。
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2024年5月8日(水)~5/10(金) 東京ビッグサイト

連載「人事労務News&Topics」

執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て独立。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。また現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
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