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専門家コラム Professional Eye

2019年12月25日更新

サポートクラブ 労務News&Topics

時間外労働等の割増賃金の計算を復習しよう

[小宮弘子氏(特定社会保険労務士)]

労務に関する法改正情報などの最新ニュースや、注目の話題をピックアップ。専門家がわかりやすく解説します。

過日、大手コンビニエンスストアで、残業代の不払いが問題になりました。
今回は、改めて割増賃金の計算について確認してみましょう。

割増賃金とは

法定労働時間を超えて労働する場合は、36協定と割増賃金の支払いが必要になります。この趣旨は、時間外労働等の抑制です。
具体的な割増率は、以下のとおりです。
区分 割増率
時間外労働 法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える 25%以上
限度時間(月45時間・年360時間等)を超える 25%超
(努力義務)
月60時間を超える 50%以上(※)
休日労働 法定休日(週1日)に勤務させる 35%以上
深夜労働 22時~翌5時の間に勤務させる 25%以上
(※)中小企業は、2023年4月1日から適用

割増賃金の計算方法

月給制の場合は、1時間当たりの賃金に換算してから割増賃金を計算します。

算定基礎賃金

月平均所定労働時間
× 上記割増率 × 時間外(休日・深夜)労働時間数

時間外労働等の算定基礎賃金

時間外労働等の算定基礎賃金から除外できる諸手当は「限定」されています。これらに該当しない賃金は、すべて算入しなければなりません。
除外できない諸手当を除いて残業単価としている場合は、結果的に未払賃金が発生し、労基法違反となりますから注意しましょう。
割増賃金の計算根拠から除外できる賃金は、次のとおりです。
❶ 家族手当
❷ 通勤手当
❸ 別居手当
❹ 子女教育手当
❺ 住宅手当
❻ 臨時に支払われた賃金
❼ 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
割増賃金の計算から除外される住宅手当は、名称が「住宅手当」であればよいということではありません。住宅の費用に応じた支給基準が求められます。賃貸住宅なら賃貸費用、持家なら管理等のために必要な費用等です。
また、同様に家族手当は、家族の数に応じて支給されるもの、通勤手当は交通費に応じて支給されるものが除外できる手当となり、一律で支給される場合は除外できません。

具体的な計算

時間外労働等の算定基礎賃金から、1時間当たりの賃金を計算してみましょう。

<前提>
基本給250,000円、皆勤手当10,000円、住宅手当20,000円、通勤手当15,000円
年間所定休日125日、1日の所定労働時間8時間
(ここでの住宅手当と通勤手当は、「費用に応じた手当」とする)
算定基礎賃金:基本給250,000円+皆勤手当10,000円=260,000円
月平均所定労働時間:(365日-125日)×8時間÷12月=160時間
1時間当たりの賃金:260,000円÷160時間=1,625円
皆勤手当は、一般的に月の所定労働日にすべて出勤した場合に支給され、1日でも欠勤があればゼロ支給となるものです。この場合、皆勤手当の支給の有無により1時間当たりの賃金も異なります。
時間外労働等の単価が月により変動することに違和感はありますが、除外できる手当が限定的に決められているため、このような取扱いとなっています。
なお、皆勤手当が支給されない月であっても、時間外労働等の単価に皆勤手当を含める優遇措置は問題ありません。

連載「サポートクラブ 労務News&Topics」

執筆者プロフィール
小宮弘子氏(特定社会保険労務士)
大手都市銀行本部および100%子会社で人事総務部門を経験後、2003年にトムズ・コンサルタント株式会社に入社、現代表取締役社長。人事・労務問題、諸規程、賃金・評価制度の改定をはじめ、社内制度全般のコンサルティングを中心に行なう。 著書に『この1冊でポイントがわかる 「働き方改革」の教科書』(共著、総合法令出版)、『ストレスチェックQ&A』(共著、泉文堂)などがある。