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新型コロナウイルス感染症の影響に対する各種取扱いについて

2020年4月23日更新

人事労務News&Topics

新型コロナウイルス感染症の影響に対する各種取扱いについて

[小宮弘子氏(特定社会保険労務士)]
新型コロナウイルス感染症による就業環境への影響が大きくなっていることを受けて、就業形態の変更や育児休業の再取得・延長措置についての取扱いが示されています。
今後とも各種情報に注意して、適切な対応をするようにしましょう。

変形労働時間制の労使協定の変更・解約

1年単位の変形労働時間制を導入するには、労使協定を締結して労働基準監督署に届け出る必要があります。一度締結した労使協定は、労使の合意があっても、対象期間の途中で変更したり解約したりすることはできません。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、発熱等の風邪症状がある従業員の休暇取得や、全国的なスポーツ・文化イベント等の中止・延期・規模縮小等によって、当初の計画どおりに変形労働時間制を実施することが著しく困難となる事態も予想されます。
そこで、このような場合に限り、特例的に、変形労働時間制の途中での労働日や労働時間の変更、労使協定の解約も可能とされました。


(1)労使協定の変更や解約が可能な事業場

次の①と②に該当する事業場が対象となります。

①1年単位の変形労働時間制の対象期間に、新型コロナウイルス感染症対策(以下、「感染症対策」という)を行なう期間を含む事業場

②感染症対策が求められることに伴い、計画どおり変形労働時間制を実施することが著しく困難になり、次のア~エのいずれかの対応をする事業場

ア.感染症対策を行なう期間における労働日数や労働時間数を変えずに、労働日や労働時間の配分を当初計画から変更すること

イ.感染症対策を行なう期間における労働日数や労働時間数を当初計画から減少させること

ウ.発熱等の風邪症状がある従業員の休暇取得や、スポーツ・文化イベント等の中止・延期・規模縮小等に対応するため、労働日数や労働時間数を当初計画から増加させること

エ.上記ア~ウ以外で、感染症対策の実施の影響により、対策期間以外の期間における労働日数や労働時間数等を当初計画から変更すること

(2)変更の手続き等

労使協定を変更する場合は、変更内容に基づき労使協定を締結し、変更後の労使協定届に必要事項を記載のうえ、労働基準監督署に届け出ます。
なお、変更により、対象労働者の範囲が変更され、賃金の清算が必要となる場合があることに注意してください。
また、労使協定を解約する場合は、労使合意が必要となり、合意について書面等にすることが適当です。
なお、必要に応じて割増賃金を支払う等、労使協定の解約が労働者の不利にならないよう留意しましょう。

臨時休園・登園自粛要請も育児休業の再取得・延長理由に

新型コロナウイルス感染症への対応に伴う暫定的な取扱いとして、保育所等の臨時休園・登園自粛の要請がある場合にも、育児休業の再取得・延長が認められます。


(1)1歳までの再度の育児休業

1歳までの育児休業は、同一の子について原則1回のところ、特別な事情がある場合は、再度の取得をすることができます。
今回の暫定的な取扱いにより、保育所等の内定を受けているとき、または保育所等へ子を入所させているときで、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、再度の育児休業に係る育児休業期間の初日において、保育所等が臨時休園となっているとき、または市町村や保育所等から登園を控える旨要請がなされているときにも、再度の取得が可能になりました。


(2)1歳から1歳6か月までの休業の申出

保育園に入所できない等の理由がある場合は、1歳6か月まで育児休業を延長することができます。
今回の暫定的な取扱いにより、保育所等の内定を受けている場合、または保育所等へ子を入所させている場合で、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、子が1歳に達する日の翌日において、保育所等が臨時休園となっている場合、または市町村や保育所等から登園を控える旨の要請がなされているときにも、1歳6か月までの延長が可能になりました。
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連載「人事労務News&Topics」

執筆者プロフィール

小宮弘子氏(特定社会保険労務士)
大手都市銀行本部および100%子会社で人事総務部門を経験後、2003年にトムズ・コンサルタント株式会社に入社、現代表取締役社長。人事・労務問題、諸規程、賃金・評価制度の改定をはじめ、社内制度全般のコンサルティングを中心に行なう。 著書に『この1冊でポイントがわかる 「働き方改革」の教科書』(共著、総合法令出版)、『ストレスチェックQ&A』(共著、泉文堂)などがある。
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