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専門家コラム Professional Eye

2021年4月14日更新

サポートクラブ 労務News&Topics

在宅勤務・テレワークにおける交通費・在宅勤務手当の社会保険の取扱い

[矢島志織(特定社会保険労務士)]

労務に関する法改正情報などの最新ニュースや、注目の話題をピックアップ。専門家がわかりやすく解説します。

2021年4月1日、厚生労働省より、「『標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集』の一部改正について」の事務連絡が公表されました。本コラムでは、今回追加された、在宅勤務・テレワークにおける交通費及び在宅勤務手当の社会保険の取扱いについて解説していきます。

○「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」の一部改正について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T210405T0110.pdf

(1)在宅勤務・テレワークにおける交通費の取扱い

在宅勤務・テレワーク対象者が一時的に出社する際に要する交通費を会社が負担する場合、当該労働日における労働契約上の労務提供地(勤務場所等)が「自宅」か「会社」かによって、交通費を社会保険における「報酬」に含めるかどうか、取扱いが異なります。

①労務提供地が「自宅」の場合

労働契約上、当該労働日が自宅での勤務とされており、業務命令により、会社等に一時的に出社し、その移動にかかる実費を会社が負担する場合、「実費弁償」と認められ、「報酬」には含めません。

②労務提供地が「会社」の場合

労働契約上、当該労働日が会社での勤務となっており、会社に出社するために要した費用(定期代等)を会社が負担する場合、「通勤手当」として「報酬」に含めて扱います。
労働契約上の労務の提供地(勤務場所等) 「自宅~会社」間の移動に要する費用の取扱い 社会保険における取扱い
自宅 業務命令により一時的に出社する場合、「実費弁償」となる 「報酬」とならない
会社 「通勤手当」となる 「報酬」となる
なお、在宅勤務・テレワークの導入に伴い、交通費の支払方法が6ヵ月の定期代から日額単位に変更された場合等においては、固定的賃金に関する変動があったとされるため、随時改定の対象となるかどうか確認する必要があります。

(2)在宅勤務・テレワーク対象者に対し在宅勤務手当を支払う場合の取扱い

在宅勤務・テレワーク対象者に対して在宅勤務手当が支払われた場合、社会保険における「報酬」に含めるかどうかは、当該手当の内容(性質)、支給要件、支給実態等から個別に判断します。

①在宅勤務手当が労働の対償として支払われる性質の場合

会社が労働者に支払った在宅勤務手当について、労働者が在宅勤務に必要な費用として使用しなかった場合でも、その金銭を会社に返還する必要がない場合、労働の対償として支払われるものとされ、「報酬」に含めて扱います。
たとえば、会社から労働者に対し、毎月3,000円を渡し切りで支給する場合などがこれに該当します。

②在宅勤務手当が実費弁償にあたるような場合

在宅勤務手当が、業務に使用するパソコンの購入や通信費など、在宅勤務・テレワークにおける業務遂行に必要な費用にかかる実費分に対応するものと認められる場合、当該手当は実費弁償にあたるものとして、「報酬」には含めません。
この場合、就業規則、給与規程、賃金台帳等において、実費弁償分の算出方法が明示されていることが必要ですので注意しましょう。

なお、在宅勤務・テレワークの導入に伴い、上記(2)-①のように在宅勤務手当が労働の対償として支払われる場合、固定的な賃金の変動に該当するため、随時改定の対象となるかどうか確認する必要があります。
また、社会保険の取扱いとは異なりますが、残業単価への影響も確認しておきましょう。固定的な賃金が継続して支給されることになり、割増賃金を算定する基礎賃金にも含めることになるため、給与計算時にも注意が必要です。


そろそろ算定基礎届の時期が近づいてきました。本コラムの内容を押さえていただき、今年の実務にぜひお役立てください。
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連載「サポートクラブ 労務News&Topics」

執筆者プロフィール
矢島志織氏(特定社会保険労務士)
志‐こころ‐特定社労士事務所代表/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事。その後、中小企業や上場企業の人事部にて人事労務全般に携わり、社労士合格後、勤務社労士を経て現在に至る。経営者の「志」を形に、そして多様な人財を企業の力に変えていくために組織コンサルティングを行なう一方、人事労務セミナーや企業研修講師としても活動中。