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来年1月以降の傷病手当金の支給期間の計算方法

2021年12月10日更新

人事労務News&Topics

来年1月以降の傷病手当金の支給期間の計算方法

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
以前のコラムで、健康保険法の改正により、令和4年1月1日より傷病手当金の支給期間が通算可能になるという内容について解説しました。今回は、Q&Aによって明らかになった改正後の支給期間の計算方法について詳しく解説していきます。

(1)改正後の傷病手当金の支給期間の計算方法

初回の申請から3日間の待期期間を経て、支給が開始される4日目より、暦に従って1年6ヵ月を計算し、その期間の日数が支給日数になります。

例えば、令和4年3月1日に申請があった場合、3日間の待期期間を経て、令和4年3月4日から支給が開始され、支給日数は、令和4年3月4日~令和5年9月3日までの「549日間」となります。
なお、残りの支給日数が0日となる日が支給満了日となります。

したがって、途中に無支給期間がある図1のようなケースでは、支給期間を通算して、549日間の支給日数が残り0日となった令和5年11月23日が支給満了日となります。
①の支給期間(168日)後、残りの支給日数は、381日
②の支給期間(110日)後、残りの支給日数は、271日
③の支給期間(200日)後、残りの支給日数は、71日
④の支給期間(71日)後、残りの支給日数は、0日
<図1>

(2)施行日前に支給期間が開始した場合の取扱い

施行日(令和4年1月1日)の前日において、支給開始日から起算して1年6ヵ月を経過していない傷病手当金については改正後の規定が適用されます。
つまり、令和2年7月2日以後に支給が開始された傷病手当金については、施行日の前日である令和3年12月31日の時点で1年6ヵ月を経過していないため、改正後の規定が適用されます。

<例1>令和2年7月1日に支給開始された場合

令和3年12月31日をもって1年6ヵ月が経過し、改正前の規定が適用されるため、支給期間が終了となります。

<例2>令和2年7月2日に支給開始され、令和2年7月2日~31日(30日分)の傷病手当金が支給された場合

令和3年12月31日の時点で1年6ヵ月を経過していないため、改正後の規定が適用されます。
この場合、支給日数は、令和2年7月2日~令和4年1月1日までの549日間となり、令和4年1月1日時点で既に支給されている傷病手当金30日分を引いた519日が残りの支給日数となります。(図2)
<図2>
令和2年7月2日以降に傷病手当金の支給を開始した社員については、残りの支給日数によって来年1月以降も支給を受けられる可能性があります。支給期間の確認は、各保険者(協会けんぽ、健康保険組合)へ直接照会ができますので、社員に案内できるようにしておくとよいでしょう。
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連載「人事労務News&Topics」

執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て独立。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。また現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
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