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2024年4月から労働者の募集時などに明示すべき労働条件が追加されます

2023年7月10日更新

人事労務News&Topics

2024年4月から労働者の募集時などに明示すべき労働条件が追加されます

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
職業安定法施行規則が改正されて、2024年4月より労働者の募集時などに明示すべき労働条件が追加されます。
本コラムでは、改正内容を解説していきます。

これまで明示すべきだった労働条件

ハローワーク等への求人申込み、自社ホームページでの募集、求人広告の掲載等を行なう際、労働者の従事すべき業務の内容、賃金その他の労働条件を明示することが必要です。
具体的な明示項目は、職業安定法施行規則第4条の2において、次のように定められています。
  記載が必要な項目 記載例
1 業務の内容 人事業務
2 契約期間 期間の定めあり(2024/4/1~2025/3/31)
3 試用期間 試用期間あり(1か月)
4 就業の場所 東京本社
5 始業・終業時刻 9:00~18:00(裁量労働制が適用される場合は、その旨)
6 休憩時間 12:00~13:00
7 休日 土曜日、日曜日、祝祭日、年末年始
8 所定労働時間を超える労働の有無 時間外労働:有
9 賃金 月給32万円
10 加入保険 健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険
11 受動喫煙を防止するための措置 室内禁煙
12 募集者の氏名または名称 株式会社○○○○
13 (派遣労働者として雇用する場合のみ) 派遣労働者として雇用する

追加される明示事項

今回、職業安定法施行規則の一部が改正されて、2024年4月1日より、求職者等に対して明示しなければならない労働条件に、次の項目が追加されます。

①従事すべき業務の変更の範囲

②就業場所の変更の範囲

③有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間、更新回数の上限を含む)

以前のコラム(※)では、労働契約を締結する際の労働条件の明示内容についてお伝えしましたが、今回は労働者の募集時などの労働条件の明示内容です。

(※)
2024年4月から労働条件明示のルールが変わります
2024年4月から労働条件明示のルールが変わります(その②)

追加される項目の記載例は、次のとおりです。
記載が必要な項目 記載例
業務の内容 (雇入れ直後)人事業務
(変更の範囲)人事、総務、経理業務
契約期間 期間の定めあり (2024/4/1~2025/3/31)
契約の更新:有 (契約満了時の業務量により判断)
更新上限:有 (通算契約期間の上限4年/更新回数の上限3回)
就業の場所 (雇入れ直後)東京本社
(変更の範囲)東京都内、在宅勤務
今回の改正により、業務の内容(変更の範囲)、仕事の内容(変更の範囲)等について、労働者は採用の段階から確認できるようになります。

従来は、入社したうえで、仕事をしながら将来のキャリアを考えていこうと考える労働者が多かったと思います。今後は、入社前から将来のキャリアを描き、そのうえで入社する労働者が増えていくのではないでしょうか。
一方、会社にとってはどうでしょうか。より明確なキャリアプランがないと、採用段階からの労働条件の明示は、非常に難しいのではないかと感じてしまいます。企業規模等に関係なく、労働者から「選ばれる企業」へと歩みを進めるためにも、社労士等の支援を受けながら対応していくことが近道になるかと思います。

厚生労働省からも、お知らせが配布されていますので確認しておきましょう。
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2024年5月8日(水)~5/10(金) 東京ビッグサイト

連載「人事労務News&Topics」

執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て独立。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。また現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
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