法案通過後もなにかと動きのある「働き方改革」。情報が多岐にわたって、いつまでに何をやるべきか不安に感じている実務担当者も少なくないのではないでしょうか。そこで、最新の法改正動向を踏まえ、2019年4月以降実施していくために、企業として考えておかなければならないこと等を注意喚起します。
労働時間の状況把握とは
これまで労働時間の把握義務については、労働基準法を根拠に適正な割増賃金の支払を目的とした指針「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(厚生労働省)がありました。労働時間の状況を把握する対象者は
健康確保措置を適切に実施するため、すべての労働者の労働時間の状況を把握しなければなりません(2019年4月から開始となる高度プロフェッショナル制度の適用者を除く ※1)。労働時間の状況とは何を把握すればよいのか
平成30年12月28日付の行政通達(基発0907第2号)によれば、労働安全衛生法による労働時間の状況の把握とは、労働者の健康確保措置を適切に実施する観点から、“労働者がいかなる時間帯にどの程度の時間、労務を提供し得る状態にあったかを把握するもの”とされています。客観的な把握方法とは
上記行政通達によれば、労働時間を把握する方法としては、原則として、タイムカード、パソコン等の電子計算機の使用時間(ログインからログアウトまでの時間)の記録、管理職の現認等の客観的な記録等により把握しなければならないとされています。その他適切な方法とは
やむを得ず客観的な方法により把握しがたい場合は、労働者の自己申告による把握が考えられます。この場合は、自己申告により把握した労働時間と実態の労働時間の状況が合致しているか必要に応じて実態調査を行い、労働時間の補正をすること等が求められます。労働時間の状況の記録の保管(3年間保存)
労働時間の把握に加え、客観的な方法により把握した労働時間の状況の記録を作成し、3年間保存しなければなりません。会社の対応
時間外手当を支払う一般の労働者については、従来から適正な労働時間の把握が実施されていましたが、同じ方法で管理監督者やみなし労働時間制の適用者についても労働時間の把握が必要となりました。<セミナー動画>働き方改革に伴う法改正と企業対応
来年4月から始まる働き方改革にそなえて、今のうちに準備しておかなければいけないことは何でしょうか。実行可能な運用をしていくための企業対応を教えます。