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専門家コラム Professional Eye

2019年5月16日更新

こんなときどうする? 有給休暇の時季指定義務Q&A

[Q2] 有給休暇の時季指定は誰が行うべきでしょうか。また指定する者は就業規則等に規定しておかなければならないでしょうか。

[山本喜一氏(社会保険労務士法人日本人事 代表社員)]

いよいよ始まった年次有給休暇の時季指定義務。ひとくちに年5日の有給休暇を取得させる、といっても、会社や社員の事情に合わせて、いろいろなケースが想定されることでしょう。どこにでも起こりうる疑問点を中心に、Q&Aにまとめました。

有給休暇の時季指定は誰が行うべきでしょうか。また指定する者は就業規則等に規定しておかなければならないでしょうか。
会社が年次有給休暇の時季指定を行う際は、原則として、その労働者の直属の上司が、就業規則の規定に基づいて行うことになります。
1. 時季指定をする者
年次有給休暇5日付与の義務について、時季指定は使用者が行うこととなっています。使用者とはわかりやすく言うと会社のことですが、労働基準法では、「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者」と規定されており、管理職なども使用者となり得ます。

業務の割り振りや業務の繁忙期などを一番理解しているのは、現場の管理職なので、年次有給休暇の時季指定を行う際には、その労働者の直属の上司が、その労働者の業務やその部署での繁閑などを考慮して、年次有給休暇の時季指定を行うことが一般的と考えられます。
2. 就業規則への規定
年次有給休暇は、「休暇」ですので、休暇に関する事項となり、労働基準法第89条の就業規則の絶対的必要記載事項となります。

そのため、使用者による年次有給休暇の時季指定を実施する場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲や時季指定の方法などについて、就業規則に記載する必要があります。

厚生労働省モデル就業規則では、例として下記のように定めています。
第○○条
1項から4項(省略)
5 第1項(※1)又は第2項(※1)の年次有給休暇が10日以上与えられた労働者に対しては、第3項(※2)の規定にかかわらず、付与日から1年以内に、当該労働者の有する年次有給休暇日数のうち5日について、会社が労働者の意見を聴取し、その意見を尊重した上で、あらかじめ時季を指定して取得させる。ただし、労働者が第3項又は第4項(※3)の規定による年次有給休暇を取得した場合においては、当該取得した日数分を5日から控除するものとする。
※印、筆者追記
※1 年次有給休暇の付与日数についての記載
※2 労働者の時季指定権、使用者の時季変更権について記載
※3 年次有給休暇の計画的付与について記載


就業規則に記載がない場合でも、時季指定をすること自体は可能と考えられますが、就業規則に記載がないため、労働基準法89条違反となります。

連載「こんなときどうする? 有給休暇の時季指定義務Q&A」

執筆者プロフィール
山本喜一氏(社会保険労務士法人日本人事 代表社員)
特定社会保険労務士、精神保健福祉士(ストレスチェック実施者)。技術・研究職、法務部門を経て、社会保険労務士法人日本人事を設立。現場、企業法務、危機管理、労働組合役員の経験を活かし、法律を踏まえた現実的な解決策を得意とする。月刊誌『企業実務』でもたびたび執筆。
【社会保険労務士法人日本人事 WEBサイトはこちら】(https://www.sr-jhr.com/)