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新型コロナウイルスに係る「雇用調整助成金」の受給額の上限引上げ

2020年6月19日更新

人事労務News&Topics

新型コロナウイルスに係る「雇用調整助成金」の受給額の上限引上げ

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
ついに、雇用調整助成金の上限額の引上げが決まり、6月12日に詳細が発表されました。ここでは「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)」(以下、「コロナ特例」)の今回の改正点について説明していきます。
なお、この改正は雇用調整助成金だけでなく、雇用保険加入者以外を対象とした緊急雇用安定助成金にも同様に適用されます。

1. 緊急対応期間の延長

まず、コロナ特例を実施する期間として設けられていた「緊急対応期間」が、3ヵ月延長となりました。
改正前:2020年4月1日~6月30日まで
改正後:2020年4月1日~9月30日まで
今回の改正による特例措置についてはもちろん、「生産性指標要件の緩和」「助成対象の拡充」「支給限度日数の特例」 など、すでに実施されている特例措置についても9月30日まで延長となりますので、余裕をもって休業等の対策が講じられるようになりました。

2. 上限額の引上げ

1人1日あたりの助成額の上限額が引き上げられました。
改正前:日額8,330円
改正後:日額15,000円
なお、この引上げは、緊急対応期間の休業及び教育訓練について、企業規模に関わらず全ての事業主に適用となります。

3. 助成率の拡充

「解雇等がない場合」、中小企業の助成率が100%になりました。
ここで「解雇等がない場合」とは、以下の①及び②の要件を満たすこととされています。

①2020年1月24日から賃金締切期間(判定基礎期間)の末日までに、解雇等(解雇と見なされる有効契約労働者の雇止め、派遣労働者の事業主都合による中途契約解除などを含む)を行なっていないこと

②賃金締切期間(判定基礎期間)の末日時点の従業員数が、2020年1月24日から賃金締切期間(判定基礎期間)の末日までの各月末時点の従業員数の平均5分の4以上であること

4. 既に支給申請、支給決定している事業主への対応

上限額の引上げ、助成率の拡充は、4月1日に遡って適用となりました。既に支給申請している事業主等への対応は下記のようになります。
※労働局・ハローワークで差額が算定しなおされます。

休業手当は、事業主によって60%、70%、80%、90%など、様々な割合で支給されていたかと思いますが、今回の改正により過去の休業手当の増額改定も認められることになりますので、上手に制度を活用していきましょう。

5. 申請書類の変更(小規模事業主以外用)

変更があった主な申請書類は、以下の2種類です。

・「様式新特第6号 支給要件確認申立書」
・「様式新特第8号 助成額算定書」

これから申請予定の企業は、新しい申請書を用いて申請を行いましょう。
 
ようやく上限額の引上げが発表され、これまで申請を待っていた企業も、やっと申請を進めることができます。
この改正にともない、前回のコラム(「新型コロナウイルスに係る「雇用調整助成金」の更なる特例、簡素化と申請ポイント」)に掲載した助成額の計算方法の選択を見直すことも、今回のポイントとなります。慎重に検討し、自社にとってベストな方法で申請を進めていきましょう。
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連載「人事労務News&Topics」

執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て独立。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。また現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
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