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専門家コラム Professional Eye

2020年3月23日更新

サポートクラブ 税務News&Topics

災害等があった場合の申告期限等の延長

[田中康雄氏(税理士)]

税務に関する法改正情報などの最新ニュースや、注目の話題をピックアップ。専門家がわかりやすく解説します。

このたびの新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、人が多く集まる確定申告会場での混雑の緩和等を目的に、個人の確定申告や個人事業者の消費税、贈与税の申告期限と納付期限が、すべて2020年(令和2年)4月16日まで延長されました。
今回の感染症の拡大防止のための延長措置は、あくまでも申告期限が集中する個人の申告に配慮したものですが、従業員が長期間にわたり自宅待機を余儀なくされるような場合など、法人にもまったく影響がないとは言い切れません。
また、近年は、甚大な被害をもたらす大規模な自然災害が相次いで発生し、いまだに完全復旧が見込まれない地域も多くあります。今後も、被害の大きさ次第では、申告や納付が期限までに履行できないことも想定しておかなければならないでしょう。
そこで、本コラムでは、今般のような感染症の拡大による影響も含め、災害等によって申告や納付が期限内に行なえない場合の税務上の取扱いを取り上げます。

申告・納付の期限延長

災害等により申告や納付を期限までに行なうことができない場合、その期限が延長される措置があります。
期限の延長は、申請等の特別な手続きをすることなく延長される場合と、自らが申請することで延長が認められる場合に分かれます。
区分 種類
国税庁の判断により延長される場合
(延長の申請等は不要)
(1)地域指定による期限延長
(2)対象者指定による期限延長
申請により延長が認められる場合 (3)個別指定による期限延長
以下、それぞれの取扱いについて詳しくみていきましょう。


(1)地域指定による期限延長

東日本大震災や平成30年7月豪雨、最近では令和元年台風第19号のように、災害による被害が広い地域に及ぶ場合には、国税庁長官がその地域と期日を定めて官報に告示し、その告示された期日まで申告や納付等の期限が延長されます。この場合、申告期限等の延長のための特別な手続きは必要ありません。
ただし、指定される地域は、あくまでも納税地の所在地になります。そのため、事業所が指定地域内にあっても納税地が指定地域外にある場合には、この期限延長の適用を受けることはできません。
このケースの場合には、後掲(3)の手続きによることになります。


(2)対象者指定による期限延長

e-taxなど国税庁のシステムにエラーが発生したことなどにより、これを利用して申告や納付等ができない場合には、国税庁長官が延長する対象者の範囲と期日を定めて官報に告示し、その告示された期日まで申告や納付等の期限が延長されます。
この場合も(1)と同様に、申告期限等の延長に関する特別な手続きは必要ありません。


(3)個別指定による期限延長

災害等による被害を受けた場合で、(1)や(2)のように国税庁長官からの告示がない場合には、自らが納税地の税務署長に期限の延長申請を行ない、その承認を受けたときは、申告や納付等の期限を延長することができます。延長の期限は、その延長となった理由がやんだ日から2か月以内になります。
関東各地で記録的暴風となった令和元年台風第15号の被害に対しては(1)による告示がなかったため、申告等に影響が生じた法人は、この手続きによることになりました。
今般の新型コロナウイルスの影響により法人の申告等に関して期限の延長を要する事態となった場合にも、その状況次第では、この手続きにより申告期限等の延長が認められることになりそうです。
なお、納税についても、申請によって猶予が認められる場合がありますので、あわせて確認しておきましょう。
「新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方へ」(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm
執筆者プロフィール
田中康雄氏(税理士)
税理士法人メディア・エス、社員税理士。慶應義塾大学商学部卒業。法人税、消費税を専門とし、上場企業から中小企業まで税務業務を担当。資産税関連も含め税務専門誌に多数執筆。主要著書『ケース別「事業承継」関連書式集』(共著、日本実業出版社)、『設備投資優遇税制の上手な使い方』(税務経理協会)。